プロローグ
静寂に包まれた室内。
カーッ!カーッ!カーッ!とカラスの鳴き声が周囲へとこだまする。
窓からさす光が赤く燃え。野球部かはたまたサッカー部だかのえいおーえいおーという掛け声が聞こえ、今の時刻が夕暮れ時だと言う事がわかった。
そしてそんな中俺こと 山田 和樹はただただ目の前の光景に息を飲み込み、呆然と佇む事しか出来ずにいる。
それもそのはずだ。今目の前にあるのはまるで芸術品の絵画が如く、写真の1つや2つ収めておかなければ勿体ないと感じるほどの光景があるのだ。
タオルからはみ出ている艶めかしく真っ白な肌はまるで穢れの一切も知らない雪の様であり、体のラインに合わせて落ちる髪はまるで絹のごとく輝きまるでそれらが一種の宝石の様なのだから。
いや待って欲しい。
確かにこの状況、この一場面を見てしまえばもはや俺がド変態の犯罪者野郎に見えるかもしれない。しかしだどうかその耳に当てたスマホを離して話を聞いてはくれないだろうか?110番通報するのはまず俺の話を聞いてから判断して欲しい。
「い、いつまでぼ、ぼくにょ裸を見てるんだああ!さっさとで、でてけええええ・・・!!」
目の前の絵画の一部であった彼、否彼だと思っていた彼女は恥ずかしげに自分の体を抱いて真っ赤な顔をしたまましゃがみ込むと俺の方へ鋭い視線を向け、そう叫ぶ。
そして気がつけばオデコに激痛が走り、俺はそのまま倒れこむ様に地面へと沈んだ。
どうやら彼女が投げた硬式の野球ボールが効いたらしい頭ん中がクラクラすっぞ・・・。
そんなことよりも・・・、いつもなら少し野太い感じの声なのだが、まさかあの声を作っていたとは驚きだ。それにいつもスッと伸ばしているつり目もいつも眉を顰めていたのだろう。今はぱっちりお目めとなっている。
脳内からお星様達が順々に消え、意識が段々と戻ってきた俺はオデコを押さえたまま状態を起こすと、未だ羞恥で顔を真っ赤にするとてつもなく可愛らしい生き物に向かって言い放った。
「イ、イチカさん?もしかしてもしかするとお、お前ってお・・・女の子だったのか????」
俺の言葉を聞きより一層頬を赤く染める元執事。
俺 山田 和樹 17歳がなぜこんな状況に落ち入り、どこぞの主人公属性の様なラッキーすけべを発動させてしまったのか・・・。
それは時間を少し遡った今朝から説明したほうがいいだろう。
この運命的な出会いを果たした俺と彼女との物語の始まりを。
読んでくださりありがとうございます。
次回は土曜日ごろの更新だと思いますので温かく見守ってくださればと思います。
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