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愚者に聖剣は似合わない  作者: お湯とOrange
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レリアハート・ユーステス

「ツバっちゃんって、もしかして痛いのが好きな方だったりしますの?」


白を基調とした、ところどころに宝石があしらってある見るからに豪華なドレスを着た女性--レリアハート・ユースシスは自前の美しく長い金髪を間に挟み、自らの下に存在する少年に、なんでもない事のように問いかけた。


「痛いことが好きな人なんているわけないじゃないですか……なんですかソレ、もしかして私が痛いのが好きだから、わざわざ滑って転けそうな人の下に潜り込んだと思ってるんですか」


下に存在するといっても、それは精神的なものでもなければ立場上のものでもなく、物理的に存在していた。


「あら、では好きなのは私のお尻の方かしらね?」


「違うんです、私は別にお嬢様のお尻が好きでもなければ痛いのも好きじゃないです」


「年頃の女性に、貴方のお尻は好みではないだなんて言わないでください、傷心してしまいます……」


「本当に傷がついたのは私の方ですが」


「男の傷は勲章ですわよ、誇れる勲章を頂けたことに私に感謝して欲しいくらいですわ」


そんな会話を交わした末に、2人はまるで何事も無かった、むしろ何かあったのか?というくらいになんでもなく一人は手を貸し、一人はその手を受け立ち上がり、目的地があるであろう方向に向かった。


実際それは何事もなかったのであろう、当然である。

レリアハート・ユーステスは身にまとったドレスでは比べ物にならないほどの価値を秘めた女性であったし、ツバっちゃんと呼ばれた男性は物理的のみでなく、立場的にも彼女の下だったからだ。


いわゆるお姫様を守る騎士である。

実際に馬に騎乗して戦ったことどころか、馬にも乗ったことがない訳ではあるが、この際の要点はつまり、彼の役目とはレリアハート・ユーステスをあらゆる危機危険から遠ざけ守ることにあるのである。


ならば彼がレリアハート・ユーステスの魅力的な臀部を守るために自らを盾にすることは当然なのであり、守るべき対象から軽口を叩かれようとそれに対し反論を行うのは騎士として正しい行動ではないのだが。


どうやら二人の仲は、職務としての正しい行動を取らなくては成り立っていかないほどに脆い関係では無いということである。


ちなみに、ツバっちゃんは、レリアハート・ユーステスの臀部はとても魅力的であり、その臀部が傷つく事などがあれば、それは職務など関係なく自らを犠牲にしてでも守りたいと思っている。


(全く、なんで僕は助けても感謝のひとつすらされない、どころか恨まれて憎まれ口を叩かれるような人を守ってるんだ……)


やめてやろうかなこの仕事、とお嬢様に付き添いながらツバっちゃんは思う。


(いや、この人に限っていえばこれは悪口でも憎まれ口を叩いているわけでも決してなく、本心からの感謝の言葉なんだ)


ツバっちゃんはふと思う、なんで現実にツンデレが存在してんだよ……と、


ツンデレは別段漫画やアニメ、小説などのフィクションの産物の中でのみ存在してる訳でもないのだけれど。


ツンデレかどうかは置いておいて、例えどれだけ他人に信を置くことの出来ない存在であろうと、例えそれが知り合い以上の関係を作ることのできない天河翼であろうと、レリアハート・ユーステスに対してのみの話であれば、少しは彼女を信頼する事が出来た。


どれだけ他人に信を置くことができなくとも、レリアハート・ユーステスという人物のことを信頼するのはそう難しい話ではない。


天河翼に関して解説するならば、今の関係になり、彼女を信頼するまでに約5年程の歳月が掛かったわけではあるが。





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