92話・俺の幼馴染の好きな人
「それで...どうなんですか、小太りのゲス先輩さん?ほら...ちゃんと
答えて下さい、小太りのゲス先輩さん!」
そしてナナが更にムゲに近づいて、嫌みの入り交じった冷静淡々な口調で、
ムゲに問いの答えを求める。
「お、己~このクソ女がぁぁ...レッド貴族のゲイナーム家の長男である、
ムゲ・ゲイナーム様を足蹴にしただけでも極刑コースだって言うのに...
それに加え、舐めた口まで聞きやがって......もう、絶対に許さんぞぉぉぉっ!」
冷静淡々と話を進めてくるナナに対し、先程蹴られた背中をムゲが撫でながら、
怨みと怒りのこもった眼光で、ギロッとナナを睨み付けてくる。
「もう、小太り先輩さん。そんな許すとか、許さないとかはどうでもいいんで、
さっさとカノン先輩とコーの事を、話してくれるとありがたいな~♪」
ニコッとしているが、その瞳の奥がメラメラと怒りに燃えているナナが、
ゆっくりとムゲの顔に近づけてガンをつける。
「ぐぬぬ...おい、テッカ!こいつは一体誰なんだ!今すぐ調べろっ!」
あまりの眼光にムゲが目線を横に反らすと、自分の手下...テッカに
ナナの情報を聞いてくる。
「へ、へい!こ、こいつは...ですね...え~っと、あっ!あったでヤンス!」
ムゲの命令に、手下のテッカが慌てて情報魔法を唱え、データを調べる。
「こいつの名前は...ナナ・ナイシュード...。1年生のトップエースで
出身地は...ケット。家柄は普通の平民」
「い、1年生のトップエース...!?」
ナナが1年生のトップエースと聞いたムゲが、額に冷や汗を掻く。
「ん...これは...!?ムゲ様!この女がここまで絡んでくる理由が
わかったでヤンスよ!どうやらこいつ...あの小僧と幼馴染だからで
ヤンスよ!」
「あの野郎の幼馴染だと...なるほど、なるほど...ふふふ!」
手下の情報を聞いたムゲが、何かを思いついたのか、不適な笑いを
こぼす。
「な、何なのよ、気持ち悪い笑いかたをして...」
「イヤ、な~に。なぁ、お前...ひょっとしてあのコウ・ラーディスの事...
好きなんじゃねえのかぁ?」
「なっ!?わ、私がコーの事をすす、好きですってっ!?なな、何を言って
いるかな!そ、そんなワケ...ああ、ある筈ないじゃない!」
ムゲの口から発される言葉に対し、露骨にバレバレな態度や表情で、ナナが
動揺している姿を見せる。




