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84話・俺に向けられる恩恵な表情


「で、でも、あれはカノン先輩から、禁止って言われたから...!」


「だがそれを律儀に守った結果、守れるものも守れずに死んでしまっては

元も子もない...違うか?」


コウの顔をジッと真面目に見つめて、カノンがそう語る。


「う、そ、それは...」


「約束を守る...それも大事だ。しかし、もし得意武器を使っていれば、

クーナちゃんをここまで危険な目に会わないで済んだかもしれない。

その可能性があった事も事実だ...それはわかるな、コウ!」


「は、はい...」


俺はカノン先輩のズバリな図星の正論を胸に受け、気持ちも心も

悄然してしまう。


「そう悄気るな、コウ。キミのその約束を守る素直な気持ちは

潔白でいい...優柔不断なのも考えているって事で、軽薄な奴より

ずっとマシだ...」


カノンがゆっくりな口調でそう語ると、真面目な目線をコウの顔へと

向け......


「されど、大事な決断を迫られた時には、即決や約束を違える事も、

また必要な事...これだけは肝に免じてくれ...コウ」


そして恩恵な表情を浮かべるカノンがコウの頬に手を当てると、その頬を

優しく...優しくと撫でていく。


「は、はい...すいません......」


うう...確かに、カノン先輩やクーナさんから嫌われたくないという

気持ちから、棍棒に武器を切り替えなかったのは本当だ。


そのせいで、俺はクーナさんをこんな危険な目に合わせてしまったんだな...。


「ゴメンね、クーナさん。俺のせいで、あんな目に合わせてしまって...

もうちょっとで死んでしまうかもしれなかったのにさ...」


カノン先輩の厳しくも優しい説教を胸に刻み、俺はクーナさんに申し訳ないと

謝罪する。


「いいんですよ、コウ君。さっきも言ったけど、私はあなたの彼女でも

ありますが、パートナーでもあります。そのコウ君のお荷物にならず、

横に並んで一緒に戦えた...。私はそれだけで十分に嬉しいんです!」


クーナが先程のコウと戦った戦闘を思い出すと、嬉しさと高揚感で

胸がドキドキ高鳴っている。


「だからそんなに謝られると、逆に困っちゃいますよ!」


喜びいっぱいの笑顔をクーナが浮かべて、コウを顔をジッと見つめる。


「はは...ありがとう、クーナさん。その言葉と笑顔で、つっかえていた

モヤモヤみたいなモノが全部取れた気分だよ!」


クーナさんの満面な笑顔を見た俺は、心のつっかえが取れていく感じを

覚え、心が安堵な気持ちへと変わるのだった。


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