83話・俺達のキラキラ瞳
「やはり、魔法や技の連発は...身体を疲れさせる...やれやれだ...」
ポイズンベアを退治できた事をその目で確認すると、カノンが額の汗を
ソッと拭ってコウ達の待っている場所へ歩いていく。
「ふう...お待たせしたな、二人とも。お前達の仇はちゃんと三倍返しで
討っておいたから、感謝しろ!」
カノンがフッと口角を上げると、コウとクーナに向かって腕を突き出し、
サムズアップをビシッと決める
「.........」
「.........」
「...って、ど、どうした、二人とも?そんな鳩が豆鉄砲を食らったような
顔をして?」
せっかく勝利ポーズを決めたのに、目を丸くしてボケッと突っ立っている
コウとクーナにカノンが首を傾げている。
「イヤイヤイヤ...そりゃ、ボケッともしますよ!あんな凄いものを
見せられては!」
「わ、私、カノン先輩が戦っている姿を見たのは初めてなんですけど、
あまりにも私とLVが違い過ぎて、コメントが口から何も出てきませんっ!」
カノンの大活躍に、コウとクーナが興奮冷めやまず状態でその瞳を
キラキラさせている。
「そっか、そっか...。そんなに凄かったか...!」
「「はい!」」
カノン先輩のドヤ顔に対し、俺達は大きな声で返事を返す。
「ふ...これでトップエースの実力をわかってくれたのなら、私も頑張った
かいがあるもんだ!」
「しかしここまで凄いとは思わず、さっきのみんなで戦わなきゃって
台詞がめちゃくちゃ恥ずかしいですっ!」
俺はこの激強のカノン先輩に、あんな発言をした事がとても恥ずかしなり、
真っ赤になった顔を両手で覆い隠してしまう。
「そう恥ずかしがるな。コウ達も中々凄かったぞ!まさか、あのユニークを
相手にあそこまで奮闘するとはな!」
「はは...奮闘といいましても、結局、手も足も出せなかったし...」
「ですね。カノン先輩が来てくれなきゃ、私達はどうなっていた事か...」
カノンが誉めてはくれるのだが、コウもクーナもポイズンベアとの死闘を
思い出し、思わずその身体をブルッと震わせる。
「そう、謙遜するな二人とも。私との制限がなかったら、もっとやれて
いたはずだ...そうだろ?」
「え...どうして、俺達がカノン先輩の指示通りの戦いをしていると
気づいたんですか?」
カノンの言葉を聞いて、どうしてわかったんだろうと、コウが
不思議そうな顔をカノンを見る。
「私の目は節穴ではないぞ、コウ。その証拠は、ほれ...コウの武器が
私のあげた刀じゃないか!」
カノンがコウの持っている武器を指差して、そう答えを返す。
「しかし何故、コウは得意武器...棍棒で戦わなかったのだ...?棍棒で
戦ってさえいれば、もう少し良い勝負ができたかもしれんのに?」
「え...?」
自分が禁止したのも関わらず、カノン先輩が神妙な面持ちで、俺に対し、
真面目なトーンでそう述べてくる。




