81話・俺の彼女、カノン先輩参上!
「カ、カノン先輩っ!?」
つぶっていた目を再び開けるとその瞳には、俺の憧れの人であり、
彼女でもあるカノン先輩が映っていた。
「ふ...しかし、本当にユニークモンスターと出くわすとは、中々に
ついてないな、コウ!」
カノンが口角を上げ、冗談混じりにクスッと笑う。
「さて...後は私がやるから...二人は後ろの方に下がってて...」
カノンがそうコウとクーナに対して述べると、二人を守る様に、
ポイズンベアの前に立ち、そして身構える。
「カ、カノン先輩!?いくらカノン先輩が強くても、あいつを一人で
相手にするには無謀ですよ!」
「コウ君のいう通りです、ここは私達と連携を取って...」
ポイズンベアを相手に一人で戦うとするカノンに、コウとクーナが
慌てふためき、動揺しながらそれをやめる様に進言する。
「チッ、チッ、チッ...二人とも私を誰だと思っているんだ...?この私は
2年のトップエース...氷使いの白銀騎士、カノン・バイッシュだぞ!」
二人に向けてカノンがニッと口角を上げると、腰にさげていた槍へ
手をやる...
そしてその槍をグルグルと回してポーズを取り、ポイズンベアに向けて
戦闘体勢に入った!
『ステータス・オープンッ!』
カノンが右手を前に突き出し、敵のステータスを見る魔法を詠唱する。
ポイズンベア(ユニーク)
LV50
HP5500/3998
MP3300/2880
攻333
防255
速303
魔200
幸180
「ほう...LV50に、HPが5500か...」
「れ、LV50」
「それにHPが5500!?」
呟く様にポイズンベアのステータスを語るカノンの言葉を聞いて、
コウとクーナが目を丸くして驚いている。
「ふ...だが、二人の攻撃のおかげもあって、こいつの今現在のHPは
残り3998だ...!」
「ぐうぅ...あんなに攻撃したのに...HPを1000ちょいしか、減らせて
いないとは...」
「うう...そ、そんな...。あ、あれだけ魔法や技を撃ち込んだって...
いうのに...」
自分達の攻撃が、ポイズンベアに取って焼け石に水だった事に二人は
驚愕してしまう。
「ふ...何を言っているんだ、コウ。こいつLVを相手に、HPを1000も
減らせるなんて...中々できない事だぞ!」
無念の表情を浮かべているコウに、カノンがニコッと微笑みを見せて、
慰めの言葉をかける。
「だから...クーナちゃんもそういう顔をせずに、ドンッと胸を張れ!
そのボンッと突き出た大きな胸くらいになっ!」
そしてカノンが胸を張って自分の胸をポンポンッと叩きながら、冗談を
交えてクーナを慰める。
「ちょっと、カノン先輩!こんな時に何て冗談を言うんですか、もう!」
カノンの冗談にクーナが顔を赤くすると、さっきまでの緊張感や脱力感が
スーッと心から消えて無くなる。
「おお!カノン先輩の胸が、めっちゃ揺れた!」
俺も俺で、カノン先輩の揺れる胸を気を取られ、緊張感や脱力感が
完全に無くなっていた。
「よし...二人ともいつもの状態に戻ったな。それじゃ、そこの木の影に
隠れていてくれ!」
カノンが横の方にある巨木を指差すと、コウとクーナにウインクをするの
だった。