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80話・俺はここで......


『たあああっ!コールド・ロォォォクッ!』


俺は両腕を天にかざして氷魔法を詠唱すると、両の手のひらの上に

無数の氷の礫が現れる!


「いけぇぇ―――!氷の礫たちぃぃぃ―――っ!」


そしてその無数の氷の礫を、ポイズンベア目掛けて撃ち出した!


「グルル......グアァァァァァ―――ッ!!」


しかしその無数の氷の礫を、ポイズンベアが魔獣の咆哮で全て粉砕する!


「くそ、またあの咆哮か!だが...その隙は逃がさんぞ、熊野郎がっ!

うりゃぁぁぁっ!!」


俺は地面スレスレを駆け抜けてポイズンベアの足元へと突進すると、

うまく足を蹴りあげて、ポイズンベアを地面に転ばせる。


「次ぃぃ!!うりゃぁぁ―――っ!!」


「グギャァァァァアアッ!!」


間を入れず、コウは身体を回転させ、その反動の力を使ってポイズンベアの

ボディーを思いっきり叩き殴る!


「クーナさんっ!」


「はい、コウ君!ナイスチェーンですっ!」


『私の魔法...我の力を...魔力を以て、あの獣を撃破しろ!ハァァァ!

アイス...キャノォォォォンッ!!』


クーナが両手を前に突き出し、魔力を上げる詠唱を唱えと、氷の氷柱が

ポイズンベアに次々と発射されて行く!


「グルルル...」


「チッ、また魔獣の咆哮を吐こうと...させるかぁぁぁっ!!」


魔獣の咆哮を吐こうとしているポイズンベアの顎へと、拳を素早く

叩きつけた!


「グギャァアアァァァッ!!?」


拳を叩きつけられたポイズンベアが、その反動で大きくのけ反って、

隙を見せる...


そこへクーナが放った氷魔法...アイスキャノンが、ポイズンベアの

身体へ次々と刺さっていく!


「うっし!コンビ攻撃大成功だ......はが!?うう...ぐがっ!?」


クーナさんとのコンビ攻撃を喜んだのも束の間、クーナさんのかけた

ブースター魔法の効果が切れてしまい、俺は膝を地面にペタンッとつけて、

頭を垂れる。


「グルル......グアアアァァァッ!!」


「し、しまった!あのポイズンベアの体勢は毒...イヤ、猛毒の息っ!?」


ポイズンベアが大きく口を開けると、口の中から紫色をした霧状のモノが

漏れて出てくる。


「ヤ、ヤバイ!に、逃げなきゃ......グハッ!く、くそ...う、動けない...

くそ...くそ...動けよ、動け、俺の足!」


その場を急いで逃げたい俺だったが、ブースター効果も切れた事もあり、

全く足が動いてくれなかった。


「コ、コウ君!?」


「くう...ど、どうやら、これが俺の限界...か」


死と隣合わせの実戦......これがクエストで学ぶ事の1つ...


そんな事は重々承知だったけど、しかしそれが現実として対面ってなると、

ちょっと怖いもんだな...はは。


「ゴ、ゴメン、クーナさん。俺はここまでのようです...」


「コウ君!コウくぅぅぅんっ!」


ゴメンね、カノン先輩、クーナさん...こんな不甲斐ない彼氏で......


もし叶うなら...俺がやられている隙に、クーナさんが無事に逃げる事が

できるよう...女神様に切に願っています...どうか、無事でね...。


俺はそう心の中で最後の願いを女神様に祈りつつ、静かにまぶたを

閉じた......



その刹那の瞬間......



「ふ...二人とも、よく耐えて、よく頑張った...な!」


聞き覚えのある美しくも凛とした声が、俺の耳へ入ってくるのだった。


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