08話・俺の試験開始!
「うむうむ...どうやら、みんな無事にパートナーが見つかったようだな!
先生、パートナー代理になりたかったのなぁ~♪」
集まった生徒達を試験官の先生が見渡しながらそう述べると、ワザらしい
笑顔を振り撒き、緊張感流れるその場の空気を和ませる。
「それでは試験を始めるぞ!まずそちら側にファイヤー撃つ者、そして
その対面側には、それをマジックシールドで弾く者とで、それぞれに
移動してくれ!」
試験官の先生が体育館中央に引いてある線を指を差して、生徒に移動を
伝える。
それから生徒達が次々と立ち替わり、入れ替わりを繰り返し、どんどんと
試験が進んでいく。
「よっしゃ!見事、合格したぜ!」
「ちくしょう!詠唱のタイミングを間違えた!」
「今回は自信なかったから、うまくいって良かったわぁ~♪」
「あん、素直にマジックシールドにしておけば良かった!」
クラスの生徒達それぞれが、歓喜したり地団駄を踏んだりと、
試験結果の合格、不合格に騒ぎを立てている。
「よし次!ラールとナナ!指定の場所に移動をしなさい!」
「はい!それじゃ、行こうナナちゃん!」
「うん、わかった。ラール君、試験頑張ろうね!」
「お、見ろよ!クラスのトップ二人が試験を始めるみたいだぞ!」
「あ、本当だ!こんな所で落ち込んでいる場合じゃないぜ!今後の参考に
する為にもこれは見ておかないとな!」
ワイワイ、ガヤガヤと生徒達が騒ぐ中、ラールとナナが指定の場所へと
移動を完了する。
「あ、見て下さいコウ君!ラール君とナナさんが試験を受けるみたいですよ!
うわぁ~♪やっぱり、あの2人ってお似合いですよね♪」
クーナが目をキラキラさせて、ラールとナナの2人に感嘆している。
「はは...」
「...って、すすす、すいませんっ!わ、私ったら、デリカシーに欠けていました!」
自分の横から聞こえてきたコウのニガ笑いに、クーナがあわあわと動揺した口調になり、
反省の色を見せてくる。
「ど、どうしたのクーナさん!?突然、そんなに慌てる様にキョドって?」
「だ、だって、コウ君とナナさんって...その、あの...」
言い訳を言おうと口を開くも言える訳もなく、躊躇う様にモニョモニョと口ごもる。
「ああ、そう言う事か...♪はは...だったら、そんなに失敗したって顔をしなくても
いいんだよ。だって、俺とナナは単なる幼馴染で、クーナさんが考えているそうな
関係じゃないから!」
俺は微笑みを浮かべ、クーナさんを安心させる為の言葉を投げかける。
「で、でも...幼馴染だったとしても、他の男子とイチャイチャしているを見るのは
辛いんじゃないんですか?」
クーナの確信づいたその言葉に、忘れてかけていた痛みを思い出すかの様に、
コウの胸がチクチクと痛みだす...。