74話・俺とクーナさんの底辺スイッチ
1匹目を退治して数十分後...。
俺達は2匹目のポイズンベアと遭遇し、その2匹目と即戦闘に入る...
そしてこのポイズンベアにも、何とか勝利を納める事に成功した。
「ハァ...ハァ...ふう、何とか勝てたね、クーナさん!」
「は、はい...でも、かなりギリギリだったですね...ハァ...ハァ」
「うむ...中々うまい連携を使った戦いぶりだったな、二人とも...。
1匹目のポイズンベア戦より、格段に戦い方がLVアップしているぞ!」
疲れきって地面に腰を落としているコウとクーナの元に、パチパチと
拍手をしながらカノンが近づいてくる。
「は、はい!お褒めの言葉、嬉しいです!カノン先輩!」
俺達を誉めてくるカノン先輩に、嬉しい言葉が口から洩れる。
「それじゃ、最後のポイズンベアを探すぞ、コウにクーナちゃん!」
「え!す、少し早過ぎるんじゃ...もうちょっと休憩してからでも...」
「そ、そうですよ...さ、流石に三連続休憩なしでの戦闘はキツイと言うか...」
今の戦いでかなり疲れている俺とクーナさんは、カノン先輩に対して
ちょっとだけ不満をこぼす。
「あまい...あまいぞ!我が彼氏コウにクーナちゃん!特訓に甘えは禁物だ!
そんな事では、底辺からの脱出なんて到底、夢のまた夢だぞっ!」
「はうっ!?」
「グハァッ!?」
人差し指をビシッと突きつけて言い放たれるカノン先輩の正論に、俺と
クーナさんのハートがナイフをグサッと刺されるかの様なダメージを受け、
その場へガクッと項垂れる。
「あ...すまん、コウにクーナちゃん、す、少し言い過ぎたみたいだ......」
「いいんですよ...どうせ、俺は底辺...どうせ、俺は底辺...」
「嫌です...赤点コースはもう嫌です......」
言い過ぎた事を謝るカノンだったが、コウもクーナ聞く耳持たずで
先程より更に地につく感じで、ガクッと頭を下げて悄気ている。
それから、数分後......
「はは...す、すいませんカノン先輩。つい、底辺スイッチが入っちゃって!」
「右に同じくです...たはは」
やっと復帰したコウとクーナが、さっきの落ち込みを恥ずかしがっているのか、
二人ともニガ笑いをこぼしている。
「今のは完全にこっちの方に落ち度があった...。だから謝るのは私の方だ...
スマンな、二人とも!」
カノンが再びコウとクーナに頭をペコッと下げて謝ると、その顔には反省の色を
見せていた。




