70話・俺の得意武器、ゴブさんの棍棒が...
「どうです!カノン先輩、クーナさん!この形といい...この光沢といい...
そしてこの曲線美といい...まさに完璧な棍棒でしょう、これっ!」
俺は色んな角度のポージングを取って、カノン先輩やクーナさんへ
ゴブさんの棍棒の素晴らしさをアピールする。
「あ...そのなんだ...色々と沢山言いたい事やツッコミたい事があるが...
これだけは言わせてくれ......」
『今から今後一切、その棍棒の使用を禁止する!』
「へ...!?」
き、禁止って、どういう事...!?
つまり、あれだよね...このカッコいい棍棒を使うなって事だよね...?
俺は一瞬、なにを言っているのか全く理解出来ず...思考を働かせて考え...
そして、おぼろ気に出た理解を組み立てると......
「えええぇぇ――――っ!?何でですかぁぁぁぁ――――っ!?」
その導き出した答えに、俺は喉が潰れそうなくらい絶望の叫喚を
荒らげてしまう。
「ハッキリ言うと、クソダサい!」
「そ、それだけで、禁止されちゃうんですか!?」
何ですか、そのあっさりとした禁止理由はっ!?
「すいません。正直、私もその武器はないんじゃないかなって、
思っちゃいました...」
うわ...あのクーナさんが、めっちゃ冷めた目をしてこっちを...イヤ、
ゴブさんの棍棒を見てらっしゃるなぁ...。
「しかしまさか、コウの打撃系が棍棒だったとは...」
「練習で使用する近距離系の武器は同一ですから、気づきにくい
ですよね...でも棍棒とは...」
未だにカノンとクーナが能面の様な冷めた目をして、コウの得意武器を
ジィィーと見ている。
「そ、そんななの...!?そんなにも女子受けが悪いの、この棍棒さん!?」
「じゃ、逆と問うが...自分が守る女性がキレイな顔立ちのナイスバディと
オークのメス型...コウなら、どっちを守る?」
「そんなの決まってるじゃないですか!勿論、キレイな顔立ちのナイスな
バディを守りますよ!」
「その棍棒は、つまり...そういうだ!」
速攻で答えを出したコウの肩をカノンがポンッと叩き、爽やかな表情で
ニコリと微笑んでくる。
「正直言って、私もゴブリンの棍棒を自慢気に振り回しているコウ君...
彼氏の姿は、かなり引いちゃうかも......」
ひにゃ~!いつも優しい笑顔を振り撒いてくれるあのクーナさんが、
何て毒のある言葉をお吐きになられるの!?
「...という事だ...。わかってくれたか、コウ?」
「し、しかし、カノン先輩!棍棒を使えないとなると、棍棒による
氷型の技を使えなくなるんですけど...!?」
「そこは、私達の為に我慢してくれたまえ!」
カノンが爽やかな表情を浮かべて、コウの肩をポンポンと優しく叩くの
だった...。




