07話・俺と地味な女の子
「あ、ああ、あの...こ、コウ君!よ、良かったらでいいんですが...
わ、わ、私とぱ、ぱ、パートナーを組んで貰えませんかぁっ!」
クーナさんが先程と同じ様に、おどおどとした口調で俺にパートナーの
申し込みをしてくるので...
「ん...いいよ」
...っと返事を返す。
「はあ...やはり駄目ですか...」
俺は肯定の言葉を述べたはずなのに、何故かクーナさんが溜め息を吐いて
ガッカリした表情をしている。
「イヤイヤイヤイヤ、俺はいいよって言ったんだけど!?」
「え...ええぇぇ!ほほほ、本当にいいんですかぁっ!?」
コウが目を丸くしてクーナにそう言うと、同じくクーナも目を丸くして
信じられないと言う顔をしている。
「うん。俺もパートナー探しをしていた所だしね。ただ、俺なんかで頼りに
なるのかって、随分と悩んでいたみたいだけど...本当に俺でいいの?」
「はわあっ!?みみみ、見ていたんですかっ!?」
コウに見られていた事が余程ビックリしたのか、クーナが後退りして
激しい動揺を見えている。
「はは...」
しかし、クーナさんって意外に可愛い反応をするんだな...でも今の
問い返しは、ちょっと意地悪だったかな?
「ち、違うんです!わ、私...自分から男子に話かけるなんてことが
殆どないから、どうしようかって迷っちゃって...」
慌てた表情を浮かべたクーナが、恥ずかしそうにチラチラとコウの方を
見ると、呟くようにそう述べる。
「何だ、そう言うことか♪」
なるほど...俺とおんなじ理由の行動だったんだ...。
「俺みたいな味噌っかすと組んでくれるのなら、こちらこそ...ヨロシクだよ♪」
「そ、そんな!?わ、私、コウ君が味噌ッカスだなんて、全然思ってませんよ!
味噌ッカスを名乗るのでしたら、それは絶対、私の方ですし...!」
コウの言葉を聞いたクーナが、自分の方こそと自己嫌悪な言葉を吐いて、コウの
フォローをする。
「はは...それじゃ、クーナさん。その味噌ッカス同士、仲良く試験を頑張ろうか!」
俺がクーナさんに屈託のない笑顔を見せながら、ソッと手を差し出した。
「は、はいです!こんな私ですが、ヨロシクお願いしますです!」
差し出された手をクーナがギュッと握りしめると、相好を崩す笑顔をコウに
返した。
「え~そろそろ試験を始めたいので、まだパートナーを見つけていない人は
急いで下さい!」
試験官の先生から、試験を開始するという声が体育館中に響き渡ると、生徒達が
ざわざわと騒ぎ、試験を始める場所へ移動して行く。
「お、試験が始まるみたいだ...。それじゃクーナさん、俺達も行こうか!」
「う、うん」
生徒達が集合している場所へ、コウとクーナが早足で移動する。