68話・俺、ロスト・アイテムの説明を受ける
「え...?コウ君...ロスト・アイテムを知らないんですか?」
「ロス...ト・アイテム...う~ん、どこかで聞いたような...?」
クーナさんにそう言われた俺は、頭に手を当ててじっくりと考える。
「聞いた事あるに決まっている...ぞ。ロスト・アイテムの事は授業で
習うのだから...」
どこで聞いたのか、どこで記憶したのかを懸命に思い出そうとしていると、
カノンが少し困った顔をして、ロスト・アイテムをどこで聞いたのかを
教えてくれる。
「あ!そうそう...授業で何かそんな事を先生が言っていた気がする...!
あの時、俺眠たくて半分くらいしか意識がなかったから...」
「ふふ...そういえばコウ君って、内容が細かい授業はいつも眠たそうな顔を
していますものね...」
頬をポリポリと掻きながらコウが言い訳をしていると、クーナがその時の
コウを思い出し、クスクスと笑いをこぼす。
「しょうがない...。ではこの私が、ロスト・アイテムを知らないダメダメ彼氏の
コウの為に、ロスト・アイテムの事を詳しく教えてやるとするか...」
「ハハァァっ!お願いします!俺の彼女、カノン先輩!」
「うむ...良い返事だ。コホン...まず、最初の説明は......」
カノンが自分の手を胸の前に持って行き、人差し指を上にピンッと
立てると、コウにロスト・アイテムの説明を始める。
【ロスト・アイテム】
遥か昔、誰かの手によって作られたと言われている究極のシロモノ。
その誰かとは、精霊王や竜の王女、エルフ王や海の女王であり、
このそうそうたる人物達が魔王を討伐する為に、その時代の以てる
全ての力や特殊な技術を用いて作られたと言われている逸品...
魔王を討伐するべく作られただけあって、この武器や防具、アイテムは
通常のモノよりも段違で、威力や効果がひと回りもふた回り違う。
だが残念ながら、今はもう既に失われた技術で、それらを作れる術は
この世界にはない。
なので、それらは存在数しか残っておらず、それらを手に入れるのは至難の技で、
その確率は1%にも満たない。
因みにロスト・アイテムをも越える武器や防具、そしてアイテムがこの世界には
存在するらしい...。
それらのシロモノを【女神シリーズ】といい、その1つ1つに特殊な名が
刻まれており、その名とは各族の女神様の名前を冠した究極のシロモノと
言われている。
しかし女神シリーズは今現在、世界で数個しか見つかっていないと言われ、
まさに究極の中の究極なロスト・アイテムなのだ。
「...以上でロスト・アイテムの説明を終わる!」
カノンがパンッと手を叩いて、ロスト・アイテムの説明の終わりを
告げる。
「おお!なるほど!そんな凄い武器をカノン先輩は持っているんですね!
凄い、凄い、流石はカノン先輩です!」
「ふふ...まぁな...。自慢な武器だよ、この白銀の槍はっ!」
やっとロスト・アイテムの事を理解したコウが、先程のクーナ同様、
キラキラした瞳でカノンを見ると、その視線を受けているカノンが、
鼻高々なドヤ顔になるのだった。