67話・俺の彼女の自慢の武器
「コホン...それじゃ、ポイズンベアのユニークに出会う前にちゃっちゃと
普通のポイズンベアを退治しちゃいましょう!」
俺は咳払いをして気持ちを切り替えると、月光の森へ人差し指を差して
そう述べる。
「うむ、そうだな...。だがその前に、これを言っておかないといけない。
いいか...コウ!これから入る森で行う戦闘は、氷系の技と氷魔法しか
使っちゃ駄目だぞ!」
ビシッと人差し指を突き出し、コウに氷系以外の技や魔法を使う事を
禁止してくる。
「ええ!氷系しか使っちゃ駄目って...マジですか、カノン先輩!」
「当たり前だ!これは特訓...それを忘れちゃ駄目...!」
ジィーとコウの顔を見つめながら、もう一度、駄目出しをしてくる。
はう!そうだった!
このクエストって、元々、氷系の特訓が目的で受けたんだった...!
あの購買部から逃げ出すのに必死で、その事はスッカリと二の次になって
いたよ...。
「はは...了解です!頑張って、精進します!」
「うむ、いい返事だ!...所で、コウとクーナちゃん...。戦う前に確認しておき
たいのだが...キミ達は一体どんな武器を使うのだ...?因みに私はこれだ!」
カノンがニッと口角を上げると、腰に下げていた棒状の物を手に取り、
それをグルグルと振り回す、すると棒状だった物が綺麗な銀色の矛先の
ついた槍に変化する。
「うわ~!その槍、すっごく綺麗な槍ですね、カノン先輩!」
「ふ...私のこれは自慢の槍で、名前を『白氷の槍』と言う、中々の
業物だぞ!」
コウの輝く眼差しに、カノンがフンスッと鼻息荒く、自分の得意武器を
自慢してくる。
「は、白銀の槍!?も、もしかして、あの伝説級の武器の1つとして
知られる、あの白銀の槍ですか!?」
「うむ...そう、あの伝説級の武器...白銀の槍だ!」
見開いた眼差しで語ってくるクーナに、更にカノンがフンスッと鼻息を
荒くして、槍を自慢してくる。
おお、あのカノン先輩が、あんなにキラキラと輝いてたお顔をっ!
そ、それにあんまりそういうのに興味のなさそうなクーナさんまでもが
あんなに瞳をキラキラさせている...。
「あ、あの...お二人さん、つかぬ事をお聞きしてもいいですか...。
そ、その武器って、そんなに凄い物なんですか?」
「「え...!?」」
コウの率直な問いに対し、カノンとクーナが目を丸くして、同時に
固まってしまった。




