65話・俺の念願、恋人繋ぎ
「はう...すごいなぁ、カノン先輩。あんな堂々とコウ君の手と
自分の手を絡め合っちゃってる...」
「ん...どうした、クーナちゃん?そんな所に立っていないで、早く
そっちの手と自分の手を絡め合っちゃいなよ!」
モジモジと照れているクーナへ、カノンが手招きをしながら空いている
コウのもう片方の手に指を差す。
「はにゃ!?そそ、そうですね!私も勇気を出して...よ、よし!
ででで...では、ええ、遠慮なく......えいっ!」
熱を感じる程にクーナが顔を真っ赤にして、コウの方へ近づくと、勢いよく
その手をギュッと掴む。
「そそ、それから...指と指をこう...かかか、絡めて......こ、こうかな!?」
そして手に取ったコウの手の指の間にあわあわと慌てながらも、自分の指を
コウの指の間に絡める様に挟み込んでギュッ握る。
「こ、これが、恋人がよくやる手の繋ぎ方なんだ......。確かにコウ君の
言うように、恥ずかしいけど...何かいいですね、これ♪」
コウの指と自分の指が絡み合っているのを見て、クーナが頬を赤くして、
ドキドキしている。
「恋人繋ぎ...彼女と...」
うわ...これが夢にまで見た、好きな子ができたらやりかった、恋人繋ぎ...
それをこんな可愛い女の子二人とできちゃうなんて...。
この予想外に起きた展開に感涙した俺は、カノン先輩とクーナさんと
繋いでいる左右の手と顔をジィィッと見つめる。
すると...
「ん...どうした、コウ?そんなにジーと私を見つめて...?いくら私でも
そんな顔をして見つめられたら、少し照れてしまうぞ!」
「はわわ...コ、コウ君!?そ、そんなキラキラした瞳で見ないで下さい!
ドキドキし過ぎて、心臓がとまっちゃいますぅぅ......」
いつもは冷静な表情のカノン先輩がコウにジィーッと見つられると、
その頬を紅色に染め...
クーナはオロオロと慌てふためき、今にも顔からプシューッと音が
出そうなくらいにその顔を真っ赤に染め上げている。
ハァ...この間の両手におっぱ...コホン、花も良かったけど、これはこれで
何か心の中を幸せにしてくれる...そんな感じにさせてくれるなぁ......!
「でもこのシチュエーション、今から魔物退治に行く様には全然見えないね♪」
「はは...そう言えば、今はクエスト中だったな。うむ、確かにこの感じ...
まるでデートをしている様にしか見えないな...」
「うにゃ!?ででで、デートですか!?」
照れたコウが発した言葉に、カノンがニカッと歯を光らせて微笑み、クーナは
カノンの発したデートと言う単語に、目を丸くして動揺する姿を見せるのだった。




