62話・俺、ユニークモンスターを語る
「ん...何だ、コウがクエストを決めたのか?」
「......」
ヤ、ヤバい...これはかなり、ヤバい状況だ!
ポイズンベア...あいつ自体はハッキリ言って、俺でも何とかなるLVだ...。
あいつの平均LVは15。で、俺のLVは現在18だしな。
しかし俺が問題にしているのは、そのポイズンベアのある噂を
聞いたからだ...
ここ数週間、ポイズンベアから痛い目にあった生徒の数がいつもより多いと
言う噂で、このポイズンベアと対峙した生徒達が、口を揃えた様に
同じことを述べたらしい...。
そのポイズンベアは通常と色が違ったとっ!
これを推測するに、この色の違うポイズンベアは突然変異で希に生まれるという
特殊魔物......
『ユニークモンスター』だという事だ。
ユニークモンスターは通常の魔物の数倍強く、繰り出す攻撃や技も
通常とは数段上になり...
ポイズンベアの場合、通常攻撃は毒攻撃なのだが、ユニークモンスターの
ポイズンベアになると、これが猛毒攻撃になるのだ。
「ま、参ったな。このポイズンベア討伐...普通のポイズンベア討伐の
クエストにしては報酬額が高い...。これは俺の考えが合っている
可能性を高めてる!」
「お~い、コウ。私の声がその耳に聞こえていないのか...?」
「うにゃにゃにゃっ!?」
カノン先輩が俺の耳をチョンッと摘まむと、息を吹き掛ける様に
囁き声を出しくる。
「あ...カノン先輩!」
「全く...彼女が話しかけているのに、ガン無視は寂しいぞ!」
やっと気づいたコウに対し、ムム...ッとした膨れっ面のカノンが、
コウの胸を指でトントンと叩きながら注意する。
「す、すいません、カノン先輩!少し考え事をしていて......」
「考え事...?それは一体、どん――」
「おっ待たせしました~!クエストの申請受理が終わりましたよ~!
では、クエスト受理書を手渡しますね!」
コウが何かを考えていたのか聞こうとした瞬間、受付穣がクエストの
申請から戻ってきて、持ってきたクエスト受理書をコウへ手渡した。
「ん...これが、コウの受けたクエストが...どれどれ......」
カノンが手渡たせれたクエスト受理書の内容を確認していく。
「ポイズンベア...。これはまた、厄介なクエストを受けたものだな、
我が彼氏よ!」
カノンもポイズンベアの噂の事を知っているのだろう、その表情が
困惑なものへと変わっている。
「はは...あの痛々しい視線から逃れたくて、適当に取ったクエストが
これだったんですよ......」
その困惑な顔を見て、俺はその理由をニガ笑いをこぼしながらカノン先輩へ
伝える。