06話・俺のパートナー探し
「ハア...?何で、俺がお前とパートナーを組むんだよ?」
「ハア...?は、こっちのセリフだよ!いつもパートナーを組んでいるのに、
何で今日はそんな事を言うのよ!」
イヤ...言うだろ、見ろよ...俺を見るみんなの憐憫な表情をさ...
それにラールも何故って顔をして、こっちを見てるじゃないか!
「ったく...お前はもうラールの彼女なんだぞ...。その彼女が幼馴染とはいえ、
他の男とイチャイチャしてたら、嫌な思いすんだろうが!」
「そんな事を言ってたら、私、男子の誰とも話せないじゃない!」
「それは極論過ぎ!俺が言いたいのは、知れた異性の幼馴染とイチャついてるのを
見て、彼氏としては、あんまりいい気がしないだろうって話だよ!」
一向に引かないナナに対し、少し呆れた顔になった俺は、人差し指をビシッと
突き出しド正論を語って窘める。
「ええ~!そんな事はないよ!だって、私の彼氏は寛大な心の持ち主だからねっ!」
ナナが胸をドンッと軽く叩き、ドヤ顔を浮かべてながら、自分の彼氏の事を
自慢をしてくる。
そ、そうかぁ...?その寛大なキミの彼氏さんことラール君が、こちらを
妬ましいって、顔をして見ていらっしゃいますが...
でも、あいつのあんな表情...初めて見たかも...?
「とにかく、俺はラールから怨まれたくないから、お前とのパートナーは
ノーサンキュだ!」
「わ、ちょっと、そんなに強く押さないでよ!もう、コー君の馬鹿っ!
フンッだっ!」
膨れっ面でプンプンと激おこしながら、ラールの方へ歩いて行くナナの姿に
軽く溜め息を洩らし、その向こうに見えるラールに俺は両手を合わせ、
ゴメンのポーズを取る。
これでいい...。
俺もナナを頼るって言う依存をなくさなきゃいけないしな...。
「さぁて...カッコつけたはいいが...パートナーの方はどうしよっかな...」
イソヒはファイヤーでいくとか言ってたし...
はあ、これは困った...。だって、マジックシールドの魔法は女子が
使用する率が多いんだよなぁ......
それなのに俺って、ナナ以外あまり女子と話す機会が殆どなかったから...
いざ女子へ話しかけるってなると、中々言葉が出てこない。
しかしここでボーッとしていたら、パートナーの代わりに試験官の先生が
代理になってしまう!こ、これは恥ずかしいぃぃ!
相手が見つからなかったのかという、他の者からの痛々しい視線...
特に今の俺はナナの事もあるし、その視線をめっちゃ浴びる事は必至!
それだけは、断じて嫌だぁぁぁ―――――ッ!!
俺は叫喚を心の中で上げると、パートナー探しに回りをキョロキョロと
見渡す。
すると、俺の目線に1人の少女が目に映った...。
「あの娘は...確か、俺と底辺を争っている、地味っ子娘のクーナさん...」
あ...クーナさんが、あの娘に話しかけようとしている...。
「あ、あの...わた...しと、私と...ぱ、ぱ、パートナーにな――」
あ...キョドっている内に、目の前からその娘がいなくなった......!
あ...こっち見た...。
あ...少し、悩んでいる...って言うか、めっちゃ悩んでいる!?
悩みぬいた結果、思考が決断ついたのか、コウのいる方へトコトコと
クーナが早足で歩いて近づいて来る。