59話・俺の恋人と初めてのクエスト
あのカノン先輩ご来訪&俺の恋人二人ですがバレるの巻から幾数日...
俺とクーナさんは数週間後に迫る試験へ向け、今日もフリーグランドにて
特訓に特訓を重ね、頑張っていた...。
「...と言うわけで、今日はクエストを行いたいと思う...!」
「え...?ク、クエストをですか...?」
突如カノン先輩から告げられたその言葉に、俺は特訓中の動きがピタッと
止まる。
「そう...コウの氷系の技を更に向上させる為には、実戦が必要と判断した!」
「実戦...」
「うむ...ここで悠長に練習するより、実戦のピリピリした中で特訓した方が、
技も魔法も早くマスターできるはず...!」
「なるほど...それは一理ありですね、カノン先輩!」
コウ達の横で特訓していたクーナが、カノンの言葉に賛同する。
「どうだ、コウ?クエストを受けてみるか?」
「そうですね...。確かにここの所、氷技の威力がちっとも上がって
いませんし...はい、わかりました!クエストを受けてみます!」
「よし...では、善は急げだ...!早速、クエストボードへ移動するぞ...
コウ、クーナちゃん!」
「「はい、カノン先輩!」」
カノン先輩の言葉に返事を返すと、俺とクーナさんは購買部の中に
設置されているクエストボードへと移動する。
◇◇◇◇◇
【クエストボード】
購買部のある部屋に設置されている、生徒や先生達から募集した
クエストの『依頼書』が張ってある掲示板。
『依頼書』には、依頼内容、期限、そして報酬が記載されている。
これを剥がしてスポンサーである購買部の受付嬢に渡し受理されると、
クエスト開始となる。
「おお、久しぶりにここに来たけど、相変わらず賑やかだな...」
俺は見渡す限りに広がる、人の黒だかりに喫驚する。
「ん...久しぶりって、コウ...君はここへ来た事があるのか?」
「はい、ナナの奴に何回もつき合わされてましたので...」
本当、あいつには...やれ小遣い稼ぎだ~とか、やれLV上げの特訓だ~とか、
色々なクエストにつき合わされたっけなぁ...。
ナナから強引に、よくクエストへ引っ張り出された事を思い出すと、
俺は思わずニガ笑いがこぼれてしまう。
「なるほど...あの幼馴染ちゃんとねぇ...」
「一緒にクエストをか...いいな...ナナさん」
コウの語る昔話に、カノンとクーナが軽いやきもちを妬いている。
「ささ、カノン先輩にクーナさん!そんな大昔の事は、横に置いておくとして、
特訓の為にもクエストボードに行って、依頼を決めましょうよ!」
「うにゃ、コ、コウ君!?いきなり手を繋がれると...ちょっと恥ずかしいです!」
「コウ...いきなり手を繋いでくるとは...もっとギュッと握ってくれ!」
コウが手を差し伸べ、カノンとクーナの手を取ると、グイッと二人を引っ張って
クエストボードへと移動して行くのだった。




