57話・俺の彼女のやきもち
「あ...勿論、クーナさんに直接何かをしてくる連中がいたら、クーナさんの
彼氏として、俺が全力でそいつらから守るから安心してね!」
「はい!その時は...あなたの彼女を守って下さいね、コウ君!」
「うん、任せて!」
照れながらそう言ってくるクーナさんに、俺はパチンッとウインクをして
サムズアップをする。
そんなイチャイチャを俺とクーナさんがしていると、その後ろから...
「ん...そこの二人、私の存在を忘れちゃ駄目...」
「わっ!?」
「はうっ!」
カノンがコウとクーナの顔近くに自分の顔を近づけてくると、少しだけ
不機嫌そうに文句を述べてきた。
「まあ、いい...コウの男気を垣間見る事ができた事だし...。それで許して
しんぜよう!しかし、クーナちゃんは幸せ者ですな...この、この...♪」
「はう...ムニムニ......」
カノンがニヤニヤとにやけながら、クーナを肘でチョンチョンとつつく。
「コホン...と、所で...コウ。その...私には...ん...ないのか?」
カノンがソワソワした態度で、コウに何かの催促をしてくる。
「え...?私にはないと申しますと...?」
そのソワソワを見た俺は、何の催促だろうと首を傾げてハテナ顔になる。
「ん...そんなの決まっている...。さっきクーナちゃんに言っていた様に......」
『カノン大好きだぁぁ―――っ!愛してるぞぉぉぉ――――っ!!』
「...と、私にも恋の告白をくれ!」
カノンが鼻息を荒くすると、カモンカモンッと手を動かしている。
「はうっ!その恋の告白、めちゃくちゃハードルが上がってるじゃない
ですか!?」
「なんだ、恥ずかしいのか?クーナちゃんにはあんなに情熱的告白を
していたというのに?」
カノンが真っ直ぐな瞳で、躊躇しているコウの顔をジィィーッと
覗き込んでくる。
「うう...その目は卑怯ですよ、カノン先輩ぃ...。もう...わかりました!
いいます!いいますから!」
未だに真っ直ぐな瞳で見てくるカノン先輩に、俺の顔中が真っ赤に
染まっていくと、その瞳の威圧に根気負けしてしまう。
「コ、コホン...では、いきますよ、カノン先輩...!」
「よし!どんこ、こい!」
コウの言葉にカノンが腕をバッと大きく広げると、告白される準備を
している。
「俺は...俺はカノン先輩の事がぁぁ、大すぅ―――」
コウが覚悟を決めて、カノンへ恋の告白しようと叫声を上げようとした
その時、
キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン~♪
授業を始めるベルの音が、教室中に響き渡るのだった。