05話・俺の実技試験
このグランジ学園には、生徒達が実戦や実技の修練や試験を
行う場所...『グランジ修練体育館』と呼ばれる施設がある。
そして今、俺達はそのグランジ修練体育館の中で、実技の試験を
行おうとしていた......
「コホン...は~~い、みんなこっちに注目~っ!そろそろ今日の実技の
試験を始めるから集合しろ~~っ!」
試験官の先生がクラスメイトの視線を自分の方へ向かせる為に
咳払いを吐き、両手をパンパンと叩くと、本日の試験開始を告げてくる。
「うへ~いよいよか...。俺、ちゃんとできるかな...」
「ここを、こう構えて...防御魔法...っと!うっし、準備OK!」
「火のイメージ、火のイメージ...火のイメェェジィィッ!!」
「手をこう...突き出して...祈る様にして...詠唱...」
「人差し指の先に意識を...集中して...ろうそくをつける感覚...」
それぞれの生徒達が、それぞれのイメージトレーニングを
しながら、試験の準備をしている。
「まず...それじゃ、試験を行う前にファイヤーを撃つ者と、それを
マジックシールドで受ける者の二人で組を作ってくれ!」
試験官の先生にそう指示されると、クラスのみんなが一斉に動きだし、
それぞれ自分に合うパートナーを選んで行く。
「パートナー...ね。以前なら、ナナと一緒に組むのが自然な流れだったが、
今はもう違う...。あいつはラールと...って、どわぁあっ!?」
「こら、コー!何をボウッと突っ立っているのよ...?」
突然、背中に軽く足蹴りをされ、前のめりに倒れてしまったコウの後ろから、
いつも聞いている声...幼馴染ナナの声が背中越しに聞こえてくる。
「イタタタ......もう、イッタイなぁ...いきなり蹴るなよ!」
俺は振り返りざまに、プンプンとした顔をナナへ見せて説教を垂れる。
「はは...そんなに痛かった?でも、怒んないの!男の子でしょう♪」
悪びれもなく、ナナがコウの肩をバンバンと叩きながら、屈託のない笑顔で
ニカッと白い歯を光らせる。
「むう...で、俺に何の用なんだ...?」
俺は蹴られた背中を擦りながら、ブスッとしたジト目でナナを見る。
「いやねぇ~何を言っているの?コーとパートナーを組みにきたに
決まってるじゃないか!」
突如、ナナの口から、コウに取って意味のわからない言葉が聞こえて
きた...。