49話・俺の彼女の巨大な手作りお弁当
「な、なんですか、カノン先輩!?そ、その黒い布に包まれている
巨大な四角形らしき物はっ!?」
ん....?
あれ...?な、なんだろう...
この黒い四角形から、めちゃくちゃ良いにおいがしてくるぞ...?
ハッ!?
「そ、それって、まさか...?」
「そう!クーナちゃんと同じく...彼氏の為を思い作った私の手作りな
お弁当だぁ...ぞっ!!」
カノンがドヤ顔でそう言うと、持っていた手作りお弁当をコウの机に
ダンッと力強く置いた。
やっぱり、お弁当だったんだぁっ!?
それにしても、何て大きさだ...これって、軽く10人前はあるんじゃ
ないか...?
「ん...なんだ、コウ?そんな鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をして...?
も、もしかして...う、嬉しくないのか...!?」
目を丸くして驚いているコウを見て、カノンがショックを受けて後退りする。
「う、嬉しい決まっているじゃないですか!あの憧れのカノン先輩の手作り
お弁当ですよ!それを嫌がる訳がないじゃないですよ!!」
うん...あまりのインパクトに忘れていたが、これは紛ごうことなきカノン先輩の
手作りお弁当っ!!
それを食べる事ができるなんて、なんて幸せな展開!
「良かった...では、ちゃんと味わいを感じて...残らず、全て食べてくれ!」
「へ...!す、全て...!?これを全部ですか...!?」
「え...!」
「の、残すおつもりなんですか、コウ君!?」
コウが述べた言葉を信じられないといったカノンとクーナの動きが
ピタッと止まり、喫驚した表情でこっちをガン見してくる。
「そ、そりゃ~カノン先輩の手作りなんだし、何とか残さない様に食べては
みますけど、ですが...この量は流石に多すぎるというか...胃に絶対入らないと
言いますか......」
「それを頑張って食べるのが彼氏の仕事!なので、頑張って全部たいらげてくれ!」
全部たいらげてくれって、イヤ~これは絶対無理ですよ...。だって、俺の体の
三分の二くらいありますもん、このお弁当の大きさ......。
でもカノン先輩のあの表情、めっちゃめちゃ笑顔だな...。
俺がこのお弁当を絶対全部食えるという、自信に満ちたお顔をしていらっしゃる...。
しかしですね、カノン先輩...人にはできる事とできない事があるんですよ!
...で、これはできないやつの方だからっ!
く...クラスメイトの視線が熱い...特に男子の視線が...
きっとあいつら、この状況を羨んでいるんだろうな...。
ん...?羨んで......はっ!
そ、そうだ!この手があったっ!!
俺は頭の上に電球がピカッと光るイメージが浮かぶと、カノン先輩に
頼みごとをする為に口を開く......。




