47話・俺に彼女が彼氏と発言
「お、おい...今の見たか...?」
「ああ、クーナさん特製のお弁当...う、羨ましい!」
「くそ...俺だって、母親のじゃなく、あんな可愛い娘に作って
欲しいぞぉぉ!!」
コウに手渡されてたクーナ特製の手作りお弁当を羨ましそうに
眺めている男子生徒達。
「うわ...コウ君、クーナさんのお弁当を貰ってめっちゃ喜んで
いるね...」
「あの笑顔を見れるなら、私も作ってこようかしら...?」
「やめときなさいって...あんたの手作り物なんか食べた日には
保険室へ直行便なのが目に見えるわ...」
「はは...私もその意見に賛成だよ。だってこの間、あんたの手作りの
お菓子を食べて偉い目にあったしね...」
「あ、あれは...たまたま、配合を間違えただけで...むむ!」
そして女子生徒達も、クーナとコウのやり取りを見て、談笑に
花が咲いている。
そんな男子生徒と女子生徒達が騒いでいる中、クラスのドアが
ガラッと開いた。
「よ...私の彼氏...!」
「ブゥゥゥ――――――ッ!?」
カノン先輩が、いきなり恋人関係がバレる様な発言...『彼氏』と言う
単語を発した事に、俺は喫驚して思わず吹き出してしまった。
「あ、カノン先輩じゃないですか?」
「よ...クーナちゃん♪」
軽やかな挨拶をしたカノンが、クーナに目が合うとそのまま
クラスの中へとトコトコと入ってきた。
「あ、あの御方は、カノン先輩じゃないかのかっ!?ど、どうして
カノン先輩がこのクラスにっ!?」
「そ、それに今、カノン先輩...コウ君に向かって彼氏とか言って
いなかった?」
「イヤイヤ...それはお前...俺も含めて、何かの聞き間違えなんじゃない
のか?」
クラスの生徒達がカノン先輩の登場に目を丸くして、ワイワイガヤガヤと
騒いでいる。
ヤバァァ――ッ!?めっちゃ、クラス中の注目を浴びているじゃんかっ!?
そりゃそうでしょう~!だって、カノン先輩の彼氏発言だもん...。
そんな俺の考えなんか露知らず、カノン先輩がクーナさんと会話を続ける。
「お...クーナちゃん!早速、コウに手作りお弁当を渡したのか、流石は
コウの彼女さんだな!」
「エヘヘへ...」
コウの手に中にある手作りお弁当を見たカノンが、賛辞の言葉を贈ると
同時に、クーナのその頬をツンツンとつつく。
ちょっと、カノン先輩ぃぃぃ―――っ!?
それも今、続けて発表しちゃうんですかぁぁぁぁ――――っ!?
さっきの彼氏発言から間もなく発されたクーナさん彼女発言に、
俺は思わず、口から洩れそうなくらいに心の中で叫喚するのだった。




