43話・俺の思いとは裏腹に
「ねぇ、コー...」
「いたた...なんだ、ナナ?そんな改まった顔をして?」
「コーに聞きたい事があるんだけど...いい?」
コウの顔をナナが神妙な表情でジィィーッと見つめくる。
「その...カノン先輩とクーナちゃんとはさ、どんな経路で
つき合う事になったのかな~って!」
神妙な表情から真っ赤表情に顔を変えたナナが、モジモジとし始め、
コウとカノン達がつき合った経緯をぎこちない態度で聞いてくる。
「ん...?それは、さっき話したじゃないか...?カノン先輩と
クーナさんの二人に告白をされて......」
「そうじゃなくってさ、どんな出会いでどんなフラグがあって、
何故二人同時につき合う事になったかを聞きたいんだよ!」
コウの言葉を否定したナナが、ガバッと迫る勢いで近づくと、
先程見せていた神妙な面持ちでその事を聞いてくる。
うう...せ、攻めてくるなナナさん...。
でも、それを言うなら俺だってこいつの...ナナとラールが
どうやってつき合う様になったか聞きたいぞ......
や、やっぱ、今の言葉取り消し!
それを聞いてしまったら、しばらく立ち直れそうにないのは
必至.....
でも、聞きたい...イヤ、聞かなきゃいけない気がする......。
そう心に決心を固めた俺は、ラールとナナの経緯を聞く為に
その口を開く......
「じゃ、じゃあ、お前はどうやってラールとつき合う事になったんだ?」
「ほえっ!?わ、私!?」
まさか、自分に同じ問いが返ってくるとは思わなかったのか、
ナナが目を丸くして驚きを見せている。
「俺も放課後、ラールに呼びだされ告白を受けたって事は聞いたけど、
その後の事まで聞いてない...ラールから告白されてその場でオッケーを
既に決めていたのか...それとも...それとも...」
コウがその先を言おうとするものの、聞こうとする言葉が抵抗するが如く、
口から出てこず...
「それとも...何?」
ナナが言葉の続きを聞きたいのか、コウにその先、何を言おうとして
いたのかを催促してくる。
「そ、それとも...お、俺のあの時の投げやりな言葉で自棄になって
告白を――」
「嗚呼、あ、あの後ろ姿はラール君じゃないっ!?」
コウが言葉の続きを述べている最中、突如ナナが叫声を上げて
人差し指をコウの後ろに向かって差した。
「じゃ、じゃあ、コー!私はここで失礼させてもらうねっ!!」
ナナがコウに向けてニコッと頭を小さく下げると、そのまま
脱兎の勢いでラールと見られる人物にダッシュして行く。
「な...何なんだ...あいつは...。わからん...本当にあいつの行動と
気持ちがわかんないよ...」
俺は遠くに消える様に去って行くナナの姿を、困惑な表情をこぼし
ただ呆然と佇んでいた。




