38話・俺の幼馴染の謎行動
「とにかく...だ。幼馴染ちゃん...私もクーナちゃんも、キミのその宣言は
拒否させてもらうぞ...。何故ならば、誰しも恋人とはイチャイチャしたい...
これ自然の摂理...違うか?」
「そ、それは...」
「幼馴染ちゃんもその摂理に乗っ取って、恋人とイチャイチャしている...はず?
そうじゃないのか...幼馴染ちゃん?」
「違う...!わ、私は違うん......だって...世か...の......」
カノンの言葉に反抗するかのように声を上げ、否定しようとするものの、
急にナナが困惑した表情で俯き、コウ達には聞こえないくらいの
か細い声に下がっていく。
「え...ちょっと聞こえない...?ねぇ、ナナ。今...なんて言ったんだい?」
俺は聞き逃した言葉をもう一度聞こうと、ナナへ問いかける。
「う、うっさい!聞こえていなかったのなら、それでいいの!さ...こんな所で
バカ話をしている暇はないわ!さっさと準備をして学校へ行くわよ!」
しかしナナはその事を怒るだけで、何も語ってはくれず、慌てるさまを
見せながら部屋の出入り口に足を向ける。
「で、でも...なんて言ったのか、気になるじゃんか!」
「でもはなしっ!聞き逃したあんたが悪いの!ほら、先輩もクーナさんも
コーが準備をするまで外に出た出た!」
「いや...彼氏の着替えの準備を手伝うのも、彼女の役目...」
「そんな役目はありませんっ!それはただの甘やかしなだけですっ!
さぁ~!バカップル発言を言っていないで、外に行きますよっ!」
「にゃっ!?」
そう言ったナナがカノンの首根っこを掴むと、そのまま引きずるように
外へ出て行く。
「あっ!待って下さいよ!じゃ、じゃあコウ君、私達は外で待っていますから
慌てずに準備をして下さいね!」
クーナがコウへ微笑んだ顔を向けてそう言うと、カノン達を追いかける様に
後を追う。
「ふう、やっと静かになった...」
しかし、ナナの奴...何であんな頑なになって、俺を起こす事へ執着を
燃やしているんだ...?
それにさっきのあの聞こえなかったナナの言葉...一体、なんて言ったん
だろう?
あの言葉を言っていた時のナナ...何か、物凄く悲しそうな顔をしてたん
だよな...。
嗚呼~何か、モヤモヤする!何で振られたナナの事で、俺がこんなに
悩まなければいけないんだよ...!
「やれやれ、これからカノン先輩とクーナさんの事でクラスから白い目で
見られる展開が待っているっていうのに、既に気持ちがボロボロなんですけど...。
ハァ...本当参った...」
俺はこの先の展開を頭の中で想像してしまい、思わず口から嘆息が洩れた...。