37話・俺の幼馴染の鉄壁の陣
「おお...クーナちゃん!中々のハグと完成度の高い撫で回しだな...。
コウのやつ、完全にデレデレ顔をしているじゃないか...♪」
そりゃ...そうですよ、カノン先輩...。これはそうならない方が
おいしいでしょうレベルですから......
ハァ~それにしても、やっぱりクーナさん、頭を撫でるのうまいな...
はわわ~幸せが絶頂だよぉ~~っ!!
俺は顔中に伝わってくる至福を越えた至極な感触に、目尻と顔は緩みきり、
口角は上がって、ニヤニヤしてしまう...。
「ムム...何よ、何よコーの奴!あんなだらしない顔でデレデレしちゃってさ...!」
あんな表情...私の時には、一度だって見せた事ない癖に...それなのに...
それなのに何よ、あの幸せそうな表情はっ!
今まで異性の影なんか、私以外なかったじゃないか......
...て、いうかそれは、私がとことん排除してきたからなんだけど...。
そのかいもあって、コウにちょっかいをかけてくる輩も殆どいなく
なったし...
だから私はしばらく大丈夫だろうと安心して、ラール君の頼みを.........
......たのに......。
なのに...気づいたら、いきなりなんで彼女ができているのよ!
しかも、二人ってっ!!
特にその片割れのカノン先輩...この人は油断も隙もなくって、何度も
何度も鉄壁の陣を抜かれそうになった、もっとも手強かった相手......
その手強かったカノン先輩との激しい攻防戦を私が制した後、しばらくコーに
ちょっかいを出してこなかったから、もう諦めたと思っていたのに...
まさか、それがフェイクだったなんて...
クソ、油断した......!
「と、とにかく!私の目が黒い内はハレンチ極まる異性行為は、絶対に...
絶~対に、許しませんからねっ!!」
ナナが人差し指をコウやカノン達の前にビシッと突きつけてると、叫声を
荒らげ、理不尽な宣言を投げかける。
「いや...彼氏とイチャコラしている幼馴染ちゃんにだけは...言われたくない...」
「そうですね...私も流石にそれはどうかなって、思うんですけど...」
カノンが正論を述べ、クーナも苦笑をこぼし、ナナの宣言をバッサリと
拒否してくる。
「な、何を言っているんです!わ、私は別にイチャイチャなんて...して...
してません...けど!」
「イヤ...めっちゃしていると思うが...」
「はい...それは苦し過ぎる言い訳だと......」
カノン達の正論を、誤魔化す様に否定してくるが、間入れずに二人が
更に追い込むように、正論をナナへ思いっきり返す。