36話・俺の彼女の包容力(クーナ)
いや~それしても、やっぱりいい感触だ...ズット、このままでいたいです...。
調子に乗った俺は、カノン先輩の胸へと擦りつける様に顔をスリスリする。
「おおう...っ!?そ、それは流石に恥ずかしい...ぞ...私の彼氏...コウよっ!?」
コウの大胆な行動に、カノンが恥ずかしそうに顔を真っ赤に染めると、
珍しくその姿に動揺の焦りを見せている。
そんな感じでイチャイチャしている俺達の前に......
「ちち、ちょっとぉぉそこの二人ぃぃぃっ!なな、何を健全な学生に
あるまじきな行為をややや、やっているんですかぁぁ―――――っ!?」
こめかみに青筋を立てて憤怒しているナナが、震える人差し指をコウと
カノンに突きつけながら、目を見開いて叫声を荒らげる。
「何をやっているって言われても...さっきも述べたが...恋人同士のあつあつの
包容を...としか言えない...こんな感じ...のな♪」
そう言うが否や、カノンがコウを更に自分の胸へ強くギュッと抱きしめる。
のほほ~!最高ですっ!カノン先輩...マジ最高ですぅぅっ!!
「むむ...ズルいです、カノン先輩ばっかり...」
先程から自分ばかりコウとイチャイチャしているカノンに対し、クーナが指を
くわえて羨ましいそうな顔をして、それをジィィーッと見ている。
「ん...そうだった、そうだった...。すまんな、クーナちゃん!よし...ほれ...
今度はクーナちゃんとイチャついてくるがいい...!」
「...って、ちょっとカノン先輩......ううにゃぁっ!?」
ニコリと微笑んだカノン先輩がそう言うと、俺の顔を両手で軽く掴んで
ポイッとクーナさんの胸元に目掛けて放り投げた。
「え...カ、カノン先輩――――キャッ!」
カノンから突如投げられたコウは、クーナの胸元に当たると、ボヨ~ンッと
弾力のある音、がその耳に鳴り響く。
「あわわ...カ、カノン先輩!?いきなり投げないで下さいよ...!」
「さぁ...コウがクーナちゃんのギュッを心待ちしているぞ...ほれほれ、
遠慮せず...やりたまえ!」
カノンがこうやれと、抱きしめろというジェスチャーをクーナに
見せてくる。
「ギュ...ギュッですか!?え...っと、こ...こうですか?...ギ...ギュゥッ!」
クーナがカノンのジェスチャーを見て、それを真似ながらコウの身体を
少し強めに抱きしめる。
うおおぉぉ―――っ!クーナさん、クーナさんっ!?
「それから...これ...いい子、いい子...コウ君、いい子ですよ~!」
うおおおぉぉぉ――――っ!クーナさぁぁんっ!クーナさぁぁぁんっ!!
クーナが胸元にコウを力強く抱きしめながら、更に追加と言わんばかりに
コウの頭をわしゃわしゃと撫で回す。




