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32話・俺と修羅場


「ふう...よく聞くのだ、幼馴染ちゃん...これはとても簡素なお話...。

クーナちゃんもコウが大好きだった...だから、クーナちゃんもコウに

告白をした...。そしてめでたく、私とクーナちゃんの二人は仲良く、

コウの彼女さんになりました!...こんな風に...ね♪」


「キャッ!?」


「はわっ!?」


カノン先輩がキラキラした顔でナナに告白自慢を熱く熱く語ると、俺と

クーナさんをグイッと抱き寄せ、屈託のない微笑みを浮かべる。


「つ、つまり...カノン先輩とクーナさんがコーに告白して、コーが

そのどちらを選ぶわけでもなく...欲望のまま、二人とも彼女にしちゃった...

こういう事ですか?」


「ちょっと、欲望のままってっ!?」


見も蓋もないナナの発言に、俺は目を見開いて喫驚する。


「だって...二人に告白されて、その二人とも選ぶ選択を取るなんて...

普通しないよね...?」


「う...確かに、その事に関しては返す言葉もない...」


冷めた瞳でド正論を語るナナを見て、俺はニガ笑いを浮かべるしか

なかった。


「チチチ...幼馴染ちゃん...それは甘ちゃんの考えだ。普通という言葉を

口にするのなら...この世界は基本...一夫多妻や一妻多夫が普通に許されて

いる...はず!」


「た、確かに...人族は基本的には、男女の婚姻は1対1じゃなくてもいいん

だった...」


「よって、私とクーナちゃんが同時にコウとつき合ったとしても...それに

何の問題もないし...文句を言われる筋合いもないの...だっ!」


カノンの表情がドヤ顔に変わると、人差し指をビシッとナナの目の前に

突き出し、鼻息がフンスッと鳴った。


「うう...そ、それはそうかもしれませんけど、やっぱり学園内では

清い交際をした方がいいし...そんな恋人多数持ちなんてハレンチ行為は...」


「多数恋人持ちがハレンチ行為...?それは...幼馴染ちゃんが注意して見て

いないだけ...私達の学園でも、普通に...多彼女持ちや...多彼氏持ちは...

いるんだぞ?」


「へ...?」


「はう...?」


「えぇ...?」


カノン先輩の口から発された衝撃な事実に、一同が言葉に詰まる。


「そ、そう言われれば...人気のある先輩の回りに、多数の異性が

取り巻いている姿を見かけた事があるけど、まさか...あれが...!?」


「ん...幼馴染ちゃんの想像通りで大体、合っているぞ...!」


「マジでですか...あ、あれって、ファンとかじゃなかったんだ...?」


カノンから語られる真実を聞いて、ナナは信じられないといった表情を

している。


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