31話・俺の二人彼女に驚く幼馴染
「だ、大丈夫ですか、ナナさん!」
「う、うん...もう大丈夫だよ、ありがとうクーナさん!」
心配そうに見つめてくるクーナに、ナナが笑顔で返す。
「いえいえ、大丈夫なら良かったです♪」
「それよりも......ジィィー」
「な、何ですか、ナナさん?そんな穴が開くほどジッと見つめて...!?」
ジト目をして自分を見てくるナナに、クーナが思わず困惑な表情でたじろぐ。
「イヤね、カノン先輩がここにいる理由は納得いかないけど、大体わかった...。
けど、クーナさんはどうしてここにいるのかな~って思ってさ?」
「あわわ...そ、それはですね!?そ、その~なんて言いましょうか~!」
ナナから振られた質問に、クーナがどう答え言うかと動揺しまくり、
あわあわと焦りながらキョドってしまう。
「ん...クーナちゃんの言いたい事を纏めると...私もコウの彼女さんだって、
言っているのだ!」
「へ...クーナさんも彼女って...何を冗談を言っているんですかカノン先輩?
だって、かか、彼女はその...ぐぬぬ...かか...ぬぬ...ぐう...カノン...
せせ、先輩なんで...で...しょう?」
ナナはカノンが彼女だと認めたくないのか、カノンが彼女と言う言葉を口から
出すのに力を込めて無理矢理捻り出す。
「うん、私はコウの彼女さん!そしてクーナちゃんもコウの彼女さんなのだ!」
「キャッ!か、カノン先輩~!?」
「はうっ!?ちょっとカノン先輩!それにクーナさん!?ち、近いです!
近い!?」
カノンがコウの腕にガバッと抱きつき、間を入れずにクーナの腕を掴んで、
コウの元へ引き寄せる。
「へ...ち、ちょっとカノン先輩の言っている文法が少し意味不明なんですが...
ふ、二人がかかか、彼女...です...ってっ!?」
コウやカノン達にブルブル震える人差し指を向けて、今の状況を把握しようと
するが、やはり脳がそれを理解してくれず、うまく言葉が出てこない。
「そんなに深く考えなくても良い...ただ私とクーナちゃんがコウの彼女...
それだけを理解できれば良い...」
「イヤイヤイヤ、そこだけが全く理解できないんですよ!その二人がコーの
彼女って所がっ!?」
カノンがこの問題を簡潔にしめようとしてくるので、慌てて詳しい答えを
求めて叫声を上げる。
「え~何でわからないの~?」
理解してくれないナナに、カノンが信じられないと言わんばかりの表情で
驚いている。
「わかるはずないでしょう!そんな意味不明なことっ!!」
「はは...まぁ、そうなりますよね。私も少し戸惑いましたから...」
ナナの動揺を見ていると、クーナが昨日の事を思い出し...困惑のニガ笑いが
こぼれる。




