27話・俺のドヤ気持ち
「ま...結果はどうであれ、二人の告白を俺は受けたんだ。今は成り行きに
身を任せるしかないか...」
俺はこれ以上あれこれ考えてもしょうがないと、取り敢えず気持ちを
ポジティブに切り替える。
あ...カノン先輩とクーナさんがこっちに駆けて来ている。談笑は
もう終わったのかな?
「ご、ごめんなさい、コウ君。カノン先輩との話に夢中になって...
少し長話しになってしまいました...」
コウを放って置いてカノンと談笑していた事を、クーナが申し訳なさそうに
謝ってくる。
「いいよ、いいよ、気にしないで。そ、それで...二人は...その...どの様な
お話で盛り上がっていたのかな...?」
俺は二人が何を話していたのか、やはり気になってしまい、やんわりと
その内容をクーナさんに問いかける。
「は、はう!?そ、それはですね...その...ですね...」
いきなりの問いに意表を突かれたクーナが、一瞬で顔を真っ赤に染め
あげると、動揺で答えを口ごもる。
「ん...それはな、コウ。私とクーナちゃんで...いかにコウの事を好きかを
熱く、熱く語っていた...」
慌てふためいているクーナの横にいたカノンが、その事を隠すこともなく、
アッサリと談笑の内容を暴露してくる。
「ちち、ちょっと、カ、カノン先輩っ!?その事は内緒にしましょうって、
さっき言いましたよねっ!?」
「おお...そうだった、そうだった。これはうっかりさん...だったっ!
マジすまんな...クーナちゃん。これから気をつける...から!」
先程より動揺を見せるクーナに、両手をパチンッと合わせたカノンが
反省の謝罪をしながら頭をペコッと下げる。
「カノン先輩とクーナさんが...俺を...この俺の事を好きかどうかで、
花をさかせていた......」
うわ!な、なんだろ、この気持ち...?
このドキドキがとまらない衝動感は......一体?
あ...もしかして、これが俗に言う...女性から好意を持たれた男の
ドヤ気持ちってやつなのか......?
俺の事で照れたり、お日様の様な笑顔を浮かべるカノン先輩や
クーナさんを見ていると、身体中の体温がホワホワとなって上昇する。
「うん...これは悪くないな...」
俺はこのよくわからない、こそばゆくも心地よい気分に浸って
安らぐのだった。
そんなこんながあったその後......
俺は再びカノン先輩の指示の元、氷系の技や魔法を修得する特訓を
開始した。
それから数時間後...
「うむ...今日はここまでにしようか...コウ」
「はい、カノン先輩...今日もご指導、ありがとうございました!」
今日の特訓を無事に終えると、俺はカノン先輩に感謝のお辞儀をする。




