22話・俺を恋人が特訓
「えへへ...形はどうであれ、これで私ってコウ君の彼女なんですね...♪」
クーナが照れまくりで目尻を下げると、喜びを露にしている。
「ん...おめでとう、クーナちゃん。んじゃ、晴れて私とクーナちゃんが
彼女になった所で...そろそろ、氷系の技や魔法の指導をするぞ...コウ」
「あ!そうだった!俺の目的はそれだったのを忘れていた!?」
それが何故、こんな展開になったんだ...!?
この間までナナをラールに取られたショックで、女なんてと落ち込んで
いたのに...気づけば、彼女が二人って...
女神様の粋な計らいにしても、これはちょっと度が過ぎるだろうっ!!
「ほら...そこ、ボーッとしない...。じゃ...始めるぞ。まず...ここを
こうして...」
はうっ!?
俺がボーッとして、そんな事を考えていると...いきなりカノン先輩が
後ろからギュッと密着してくる。
カ、カノン先輩が、ここ、こんなに密着して...っ!?
それに、この鼻をフワッと抜ける爽やかな匂い...ハァ~カノン先輩、
とっても良い香りがするなぁ~。
あの間のクーナさんも、スッゴク良い香りしていたし...どうしてこうも
女子という者は良い香りがするのだろうか...。
「そうして、こっちを...こう...」
「わひゃ!?」
「どうした、コウ...?そんな素っ頓狂な声を上げて...?」
「い、いえ...ちょっと背中に良い感触が...て、ははは...何でもないです!」
うっかり、本音を口からこぼしそうになって慌てた俺は、ニガ笑いを浮かべて
必死に誤魔化す。
「気にするな...。私とコウはもはや恋人同士なのだ。だから...胸の感触ぐらい
好きに楽しめ...」
ヒャァァァ――――ッ!バレてたぁぁぁ――――――ッ!!
「あ...でも、手のひらで直接、揉み揉みは...もうちょっとだけ...待って欲しい...。
流石に今はまだ...恥ずかしい...から...」
カノンが珍しく頬を真っ赤に染めて、こちらをチラチラ見ながら、コウへ
嘆願する。
うわ...照れているカノン先輩って、めっちゃ可愛いな...!
いつもは冷静沈着な表情が殆どだから、こんなにデレているカノン先輩を
見ると逆にこっちも照れてしまうよ...。
「おっほん...で、では、指導続きを始めるぞ...!」
「は、はいっ!ご指導お願いします、カノン先輩!」
戸惑いを隠す様に咳払いをすると、カノン先輩が再び冷静な顔立ちに戻る。
「うむ...私に全て任せるのだ...!氷使い手として絶対にコウを合格させて
やるぞ...!」
カノンが冷静な面持ちなのに、ドヤ顔に見えるその表情で宣言すると、
更にコウの背中へ、ギュッと強く抱きついて来る。
はうわぁっ!?せ、背中が...背中全体が至福で充たされていくぅ~~っ!?
先程の俺の真面目モードはどこへ?っと言わんばかりに...コウは背中に当たる
幸せな感触へ全神経を集中するのだった。