214話・俺、完全なる融合に翻弄される
スゥ......ハァ......よしっ!
俺は深呼吸で動揺している気持ちを切り替える。
「さぁ、覚悟しろよ!ゴブリンキング、ゴブリンクィーン!今度こそ、
俺の目的を成し遂げてやるぜっ!」
そして俺はゴブリンキングとクィーンに向かって人差し指をビシッと
突き付けると、大きな声で啖呵を切った。
「な、なんだ...?この突き刺さる様な気の当たりは!?あ、あの人の子の
強さが数段大きく変化している......だとっ!?」
コウのステータスがグンッとパワーアップした事に勘づいたゴブリンキングが、
驚くと同時にその表情から余裕がドンドン消えていく。
「おほ、おほほほほ...。あ、あんなのはハッタリですわよ、ハッタリィ~ッ!
こ、こんな短期間であなたがビビるくらいの強さを得る筈がないでは
ありませんかっ!」
そしてゴブリンクィーンも余裕ぶってはいるのの、内面では驚きと焦りを
隠せないでいた。
『ほら、見て下さいよ、コウ!ゴブリンキングとクィーンがコウのステータス
アップに感気づいたんでしょうね。その動揺で隙だらけですよ!』
「うっし。なら、狙うは今か!貰うぞぉっ!ゴブリンキング、クィーンッ!」
俺はゴブリンキングとクィーンの持つ棍棒に照準をロックすると、大地を大きく
蹴り上げて突撃する!
...が、
「なな、なにぃぃぃこれぇぇぇっ!?おお、俺の動き、速ぁぁぁ~~~!?」
のわわわぁぁぁ~~~っ!?なな、何だよ、アホみたいな速さはぁぁぁっ!?
お、俺の身体が突撃について行けず、引っ張られてるぅぅうぅぅっ!?
そのあまりの突撃スピードに驚いてしまい、思考が脅威してしまう!
「あ、あの人の子のスピードはなんだっ!?や、やはり、俺が先程の感じた
強さは気のせいではなかったという事かっ!クィィィィンッ!!」
「わ、わかってますわ、あなたっ!ハァァァ―――ッ!」
『炎の槍よ!我の敵を撃ち、そして穿がけ!ファイヤーランスゥゥゥッ!』
ゴブリンキングの号令に、クィーンが素早く棍棒を前に突き出して身構えると、
炎魔法...ファイヤーランスを詠唱し、コウを目掛けて無数の炎の槍を次々と
射出していく!
「うひぃぃぃ~!?も、物凄い数の炎の槍が襲い掛かってくるぅぅうぅっ!?
こ、こんなスピードでぇぇぇ、あの炎の槍たちを細かく避けるのはぁぁぁ~
お、俺にはとても無理そうなんですけどぉぉぉぉっ!?」
『ふふん。大丈夫ですよ、コウ。あの程度の攻撃。避けるまでもありません!
さぁ、コウ!というわけなので、気にせずにこのままあれに突っ込んで
行きなさいなっ!』
「はあぁ?こ、このまま突っ込めだって!お、お前、気は確かかぁぁっ!?」
信じられない事をあっさりと宣うセティに、俺は目を大きく見開いて
ビックリしてしまう。
『だから、大丈夫ですってば。今のコウにはあの程度の炎魔法の攻撃なんぞ、
全く効きやしませんから!』
「いやいやいやいやいや!か、仮にそうだったとしても、あれに突っ込む
勇気は俺にはこれっぽっちもありませんよぉぉぉぉっ!?」
あんな魔法攻撃程度は平気だと豪語するセティだが、目の前を隙間ない程に
埋め尽くして向かって飛んでくる炎の槍の多さに、俺は恐れ戦いて絶対に
無理だろうと躊躇する。




