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206話・俺の妹のライバル


「でもそれだったら、やっぱりナナさんの気のせいなんじゃ?」


ミルは色々思考した結果、やはりナナの気のせいだと結論づけ、

それを口に出そうとした瞬間...


「ねぇ、ミル。私が昔よく発症していた頭痛の事...覚えているかな?」


ナナがそれを遮る様に、自分の頭痛の話をしてくる。


「え?ナナさんの頭痛...ですか?ええ。勿論、覚えていますよ!」


だって幼少期の頃のナナさんってば、いつも其処彼処(そこかしこ)

大小なりの頭痛をおこしていらっしゃいましたしね...


それに付け加えてこの間の放課後、カノンさん達と戦った時にも、

その頭痛を発症してたようですし...。


「それでその頭痛と、ナナさんの気持ちがどう関係しているって

いうんですか?」


「実はその頭痛の原因って、コーの事を強く意思した時になんか

発症するみたいなの...」


ミルの素朴な疑問に対し、ナナが神妙な口調でそう答えを返す。


コウにぃを強く意識した時......?


「それってつまり、コウにぃにドキドキを感じたらって感じ...ですか?」


「うん...」


ミルの問いに、ナナは静かに首を縦に小さく下げる。


た、確かに言われてみれば、ナナさんの頭痛って、昔の時もコウにぃが

女子に目尻を下げたり、イチャついていた時...


そして、あの放課後の時もコウにぃを巡ってのキャットファイト中も

したっけ?


「ふむ。頭痛の経路は何となくわかりました。ですが、それとこれと

どう結びつきがあるというんです?」


「それはね...その頭痛が発生すると、大小の差があるものの、コーへの

意識...好意の感情が薄れていく錯覚に陥る...いいえ、確実に陥っているの!」


「ええぇぇ!そ、それじゃ、やっぱり魅了系、催眠系の類いじゃ!?」


ううん、それはないか...


さっきも言っていたけど、魅了系や催眠系にかかっていたら、あの学園の

施した無効化の魔法でプレーン状態に戻る筈だもの。


じゃあ、その学園の施した無効化の魔法以上の魅了系や催眠系を

かけられている可能性は!?


ううん、それもないと思う...


三つの学園の無効化魔法は、SSS級クラスの魔法使いが施したって聞く。


ではやはり、ナナさんの気のせい、気の迷いでは?


「.........」


ミルはチラッと神妙な面持ちで、頭を項垂れているナナを見る。


それはなさそうね、私は昔からナナさんの人となりを知っている。


だからナナさんのあの表情...あれは決して嘘を言っている表情じゃない。


...って、


私は何でこんなにもナナさんを心配しているんだろう?


このままナナさんを放っておけば、コウにぃのライバルが減って万々歳だと

いうのに...


全く...私って、意外にお人好しな人間だった様ですね。


懸命になってナナの事を心配する自分に気づいたミルは、その言動に対し、

思わず苦笑をしてしまう。


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