205話・俺の幼馴染の嘆き
コ、コーが私を好きになっていた...!?
「そ、それって本当の話なの、ミルッ!」
「ええ。悔しいですけど、コウにぃはあなたに告白する気
満々だったみたいですよ?この間ナナさんの話を私と語っていた時に、
コウにぃが恥ずかしそうな表情...そして悲しそうな表情をしながら
教えてくれましたから」
「コーが...コーが、わ、私に、こ、告白を......っ!?」
ミルの告げた真実にナナが目を見開いて驚愕すると、自分の身体をギュッと
強く抱いて、その身をブルブルと震わせている。
「ち、違う...違うんだよ、コー!そ、そうじゃないんだよ...そうじゃ...」
そしてナナはゆっくりと後退りしながら、何かブツブツと呟き始める。
「本当に...本当にわからないんだよ!気づいたら...私の心はドンドン
ラール君を好きになっていくし...こんな訳のわかない感情...なんだって
言うのよぉぉおぉぉぉっ!!」
ナナの呟きが納得がいかないと言わんばかりに、大きな声へ少しずつ変わって
いくと、ナナが天に向かって咆哮する様に叫声を荒らげる。
「ち、ちょっと、ナナさん!?い、一体どうしたんですか!?いきなり大きい声を
あげて!お、落ち着いて下さいっ!ねぇってばっ!!」
そんなナナにビックリしたミルが、強引にナナを羽交い締めにして、
取り敢えず興奮状態な気持ちを落ち着かせていく。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「...という訳なの」
「う~ん。なるほど...つまり自分の気持ちとは裏腹に、そのラールって奴に
心がドンドン動かされてしまっている...ですか......」
ミルが神妙な面持ちをして、ナナの述べた疑問視に対し頭を捻る。
「でもそれって、先程も言いいましたが、そのラールって奴をナナさんが
少しずつ好きになっていっているからじゃないんですか?」
そう...恋愛に良くあるパターンのひとつで、最初はどうでもなかったのに、
付き合うにつれて、その相手の事がドンドン気になりだしてきて、ふと気づくと
その相手に好意を抱いていたってやつ。
「私もね、最初はそうだと思っていたんだ。けど、なんか違うんだよ...。
この気分を口で説明するのが難しいんだけどさ、あえて言うなら魅了系の
魔法をかけられている?...そんな状態に陥っている感じなんだよ......」
「み、魅了系ですって!もしそうだったら、大変じゃないですかぁっ!?」
そんなクソみたいな方法...本当にそのラールって奴が取っているんだとしたら、
マジで絶対に許さないっ!
ナナの心痛な訴えを聞いたミルは、目を見開いて喫驚すると、拳をギュッと
握りしめ、ふつふつと怒りが沸き上がってくる。
「はは...でも実際の所、きっとそんな事はないんだよ。だって、あなたも
知ってるでしょう?仮にあの学園で魅了...魔法系にかかっていたとしても、
あの学園内に入れば全ての魔法は無効化されてしまい、解除される事をさ!」
「あ。そうでした!」
自分の学園も含めて、三つの学園には無効化魔法がかけられている事を
思い出す。
 




