20話・俺の恋人候補
「わ、私も参加するって...クーナさん、今の言葉は本気..なの?」
カノン先輩だけでも、信じられないのに...
「は、はい!本当はもうちょっと時間をかけて、コウ君に告白をする
予定だったんですけどね...」
告白...クーナさんが俺に......
「でもこのままじゃ、カノン先輩の告白を受けてコウ君とカノン先輩が
恋人関係になってしまうには目に見えている...。それなら私も、この
ビックウェーブの流れに乗らせてもらいます!」
クーナが自分の思いを捲し立てる様に言い切ると、鼻息を荒く吐き出す。
「ク、クーナさんが俺の事をそこまで...」
カノン先輩に続いて、自分もと恋人立候補をしてくるクーナさんに、
俺はドキドキと驚きを隠せないでいた。
「そっか、クーナちゃんもコウを好きか...。それじゃここに1つ提案がある!
私と一緒にコウの恋人になっちゃおうか...?」
クーナの立候補を聞いたカノンが、意味のわからない斜め上な案を上げてきた。
「へ...!?い、一緒にコウ君の恋人に...?それって、一体どういう意味なん
ですか!?」
「どういう意味も、そのままの意味...。私とクーナちゃんの二人でコウの恋人に
なっちゃおうって話だよ!
「ふ、二人でコウ君の恋人に...ですか!?」
カノンの大胆な提案にクーナも意味がわかりませんと、その目を丸くする。
「どっちかが振られるより、二人で一緒にコウの恋人なる...これが理想...。
クーナちゃんはどうなの?コウの決定を聞いて、どっちかがって選択を選ぶ?」
コウ君の選ぶ選択...
そんなの聞くまでもありませんよ...だって私が、カノン先輩に勝てる要素が
1つもないもの...。
じゃあ、カノン先輩の案を受け入れるべき...?
でも私とカノン先輩の二人で恋人になったとして、コウ君...私もちゃんと
可愛がってくれるかな?
はわわわぁっ!?か、可愛がってくれるかな...って、私、何て恥ずかしい事を
考えて...!?
クーナが自分の言葉に、ボンッと音が出そうなくらい顔中を真っ赤にして、
身体をクネクネさせて照れている。
と、とにかく...私が今出せる答えは、これしかないよね......
「う...ざ、残念ですけど、その選択を選ぶのは私の負け戦の可能性が大です。
コホン、わかりました...カノン先輩!その二人で恋人という案...乗らせて
もらいます!」
クーナが頭の中をくるくる回して考えた結果、カノンの案が一番の選択だと
確定し、カノンの前に誓いの握手をする為に右手を差し出す。
「ん...その選択に感謝...では、握手!」
カノンも差し出された手をガッシリと握り返す。
「...と、言うわけで、コウ...。二人共々...今後とも宜しく...」
「ふつつか者ですが、私もカノン先輩と一緒によろしくお願いしますね!」
カノンはビシッと敬礼をし、クーナは顔を真っ赤に染めると何度も
ペコペコ頭を下げてくる。




