199話・俺、とうとうゴブリンキングとクィーン対峙する
それから俺は、ゴブリンキングからの不意討ちを食らわない様、全神経を
研ぎ澄ませながら、洞窟の奥へ奥へと足を進めて行く。
そして......
「なっ!?こ、これはっ!?」
す、凄い...洞窟の中だっていうのに、なんて広さなんだっ!?
ゴブリンキングやクィーンの待ち構えている場所の少し手前に辿り着いた俺は、
その先が見えない程に広い目の前のフロアに、目を見開き喫驚してしまう。
『あ、見て下さい、コウ!あの前方の方角...その奥にボヤっと光っている所を!
あそこから探索察知した強い気を感じます!』
「ん...?ああ、あのボンヤリと光っている場所か?」
『はい、そこです!』
セティの述べた場所をジィィーと目を細めながら見て問うコウに、セティが
肯定の言葉を返す。
そっか...あの光差す場所に、ゴブリンキングとクィーンがいるのか...。
「んじゃ、ゴブリンキング達へ突撃する前に、確認のシュミレートを
しておこうかな......」
俺はこの後に行う、ゴブリンクィーンの棍棒奪取作戦の再確認する為の
シュミレートを、頭の中に思い浮かべていく。
まず...いつでもゴブリンクィーンの武器を奪って、ヒット&アウェイを
できる様に全神経を両の眼に集中する。
次に...頭に他の雑念が入らない様、思考を『武器を奪取する!』これだけに
切り替える。
そして...ゴブリンクィーンが棍棒を持っていなかったら、即キングを確認し、
もし棍棒を持っていたら、素早く思考をゴブリンキングの棍棒へと切り替える!
最後に...この作戦が成功しようととも、失敗しようとも、二匹から即座に
離れたのち、全神経を猛ダッシュに注ぎ、一目散で出入りへと逃げる!
この作戦に余裕も隙もない。あるのは秒々の刹那の時間のみ!
「うっしゃ!確認終了っと!それじゃ行こうか、セティ!」
ゴブリンの棍棒奪取作戦のシュミレートを終えた俺は、ゴブリンキングと
クィーンの待つ奥へゆっくりと進んでいく...。
「......あ、あれはっ!?」
しばらく移動していくと俺の目線前に、二つの玉座らしきが見えてきて、
その二つの玉座に、それぞれ偉そうなポーズで座っている人物が見えた。
「ぐふふふふ...ようこそおくびもせず、我が元へ来たものだ人族よ、
その度胸に感嘆し、そなたを歓迎してやるぞっ!」
「うふふふ...気はつかわなくとも良いですよ。何故なら、この歓迎会は
直ぐに済みますから!」
玉座らしきものに座っていたゴブリンキングとクィーンが、スーッと
立ち上がり、コウを卑下する口調でそう述べてきた。
「な、何だ、こいつらは...!?これは一体っ!?」
目の前にいる人物...ゴブリンキングとゴブリンクィーンの姿を見て、
俺はどういう事なんだと目を見開き、動揺してしまうのだった。




