196話・俺の宣告に精霊が冗談を述べる
ステータスを確認し終わった俺は、ゴブリンキングとクィーンの
いる場所へ向かう為、木の枝のしなりを利用したジャンプを何度も
繰り返し、東の森の上空を進んで移動する。
そして......
「この洞窟内にゴブリンキングとクィーンがいるんだな?」
『はい。この洞窟内から間違いなく、強い気の反応を感じます!』
やっと辿り着いた俺は、ゴブリンキングとクィーンのいるという洞窟を
見渡す様に眺める。
「そっか...んじゃ、早速中に入るか......」
俺はセティに再確認した後、ゴブリンキングとクィーンに気づかれない様、
ゆっくり、ゆっくりと足を動かし、洞窟の中へと入っていく。
「あれ?な、なんか洞窟内がほんのりと明るいな?これってもしかして、
ゴブリンキングの仕業なのかな?」
洞窟の壁中が微かな光を放っているのを見て、俺がそう呟いていると...
『確かにこの灯りから魔力を感じますね。でも恐らくこれを行ったのは、
ゴブリンキングの方じゃなく、クィーンの仕業だと思いますよ、クィーンは
基本、魔法のエキスパートなので』
俺の疑問に対し、セティがそう答えてくる。
「へ、へぇ...洞窟内全てに魔法をかける事ができるだなんて、クィーンって
相当の魔力持ちなんだな...」
そ、そっか...こ、こんなにも凄い魔力を持った奴の武器を、取らなきゃ
い、いけないのか......。
『ゴブリンキングが攻撃のエキスパート、そしてゴブリンクィーンが
それを補佐する魔法のエキスパート。この二人のコンビネーションは
中々の脅威ですから、十分に気をつけて下さいね!』
ゴブリンクィーンの魔力の大きさに驚いているコウに、セティが神妙な
面持ちの口調で注意を促してくる。
「そ、そだな!き、気をつけるよう、し、神経を集中させておくよ!」
『ん...?おやおや~?もしかしてコウさん、怖じけついているのかな~?』
ゴブリンキングとクィーンに対する注意を聞いたコウが、見た目でわかる
くらいにキョドっているのを見て、ニヤニヤとした口調で小馬鹿にしてくる。
「なな、何を馬鹿な事を!し、失敬なっ!」
『本当ですか~?』
セティが更にニヤニヤ口調でそう述べると...
「それ以上言うと、もう一回おやつ減の刑を発動させるぞ!」
「はううっ!??」
イラっとしたコウは、セティが一番されたくないであろう言葉を口にする。
『ウソウソ!じょ、冗談ですよ、冗談!緊張しきったコウを解そうとした、
セティジョークってやつですよっ!』
コウから告げられるおやつ減の刑を取り消したいが為、セティが意味不明な
言い訳で誤魔化そうとしてくる。
「セ、セティジョークって...」
そんな躍起になるセティを見て、俺はそこまでおやつを減らされるのが
嫌なんだと、思わず苦笑してしまう。




