190話・俺が棍棒鑑定をしていたその頃...
コウがジェネラルゴブリンの棍棒のあまりのショボさにガッカリと
していたその頃...
次元断裂ブレードの簡易ワープを駆使して、いち速く学園に戻ったミルが、
東の森でゴブリンのスタンピートが起こっている事を伝えていた。
「えええぇぇぇ!?ひ、東の森にて、ゴブリンのスタンピートが起こっている
ですかぁぁぁっ!?」
購買部のお姉さんが、ミルから述べられるスタンピートの話に、喫驚して
叫声を荒らげる。
ざわざわ...ざわざわ......
「お、おい!い、今の話を聞いたか!?」
「ああ...ゴブリンのスタンピートが起きていると言ってたな!」
「嘘だろ...こ、こんな場所で、スタンピートが起こるだなんて......」
「これって、かなりヤバくないか...!に、逃げた方がいいんじゃ!?」
近くでミルの話を聞いていた学生達が、信じられないと驚愕していた。
「そ、それで、そのゴブリンの規模は、一体どれくらいなのでしょうか!」
「そうですね...コウにぃの話し方を見るに、少なく見積もって...上位種が
百近くは存在すると思います!」
「じょ、上位種が百っ!?少なく見積もって...ですか...っ!?」
ミルの神妙な面持ちで語られるその数の多さに、購買部のお姉さんの
表情がドンドン険しくなっていく。
「とにかく、スタンピートの事は伝えましたからね!後は学園に任せました
から!じゃ、私はこの辺で失礼しますねっ!」
ミルは購買部のお姉さんへ人差し指をビシッと突きつけてその場を去ろうと
足を東の森がある方向へと向ける。
「え!?まさかまた東の森へ行くつもりなのですか!?」
「当然よ、あそこにはコウにぃがいるんだから、急いで合流して
助っ人をしなきゃ!」
スタンピートの起こっている東の森にミルが行こうとしている事へ、
購買部のお姉さんがビックリしていると、ミルが何故止めるのと
不快な表情を浮かべつつも、東の森へ向かう理由を説明する。
「ちょ、ちょっと待って下さい!もしかしてあの森に、あなたの
知り合いがいるのですか!?それは一大事じゃないですか!」
「だから助っ人をしなきゃって、言ったでしょう!」
慌てる購買部のお姉さんの問いに「もう、引き留めないでよ!」と
言いたげな叫声をミルが荒らげていると......
「ねぇ...ミル、それは本当なの?コーの奴がスタンピートの渦中に
いるって話は...!?」
ミルと購買部のお姉さんの会話を聞いたポニーテールをなびかせている少女が、
心配と不安の入り混じった表情を浮かべながら、二人の元へ近づいてくる。




