188話・俺、精霊のおやつ代をゲットする
「その権棒、俺によこせやぁぁぁぁぁっ!!」
「ゴブッ!ゴブブッ!!」
ジェネラルゴブリンがコウの攻撃を防ぐ為、素早く腕をクロスにして
ガード体勢に入る!
「甘いぞ!そのガードは、ここを狙えばぁぁぁっ!」
俺はカノン先輩から習ったガードされた時の突破口を思い出すと、
相手の手の甲に向けて、反動を思いっきりつけた拳を叩きつけるっ!
「ゴブリシャァァァッガアァァァァァッ!!」
すると拳を叩きつけられた痛みでジェネラルゴブリンが絶叫を荒らげ、
持っていた棍棒を地面へと落とす。
「よし!うまく棍棒を地面へ落とす事に成功したぞ!」
後はその棍棒を...頂戴するだけだぁぁぁぁぁ―――っ!!
「ゴシャァァァァァ―――ッ!!」
「ゴブゴブリャァァァァァッ!!」
「この...!剣持ちと斧持ち風情が、俺の...邪魔すんじゃねぇぇぇ――っ!」
「グハァァ――――ッ!!?」
「ハギャァァ―――ッ!?」
覆い被さる様に俺を攻撃してくる、剣持ちと斧持ちのジェネラルゴブリンの
顎を目掛けて下から上へと、しなりを効かせた両の拳を叩きつけると、
二匹のジェネラルゴブリンがその勢いのまま、上空彼方へと飛んで行く!
そして上空からこの二匹が装備していた、剣と斧が落ちてきて、地面にグサッと
突き刺さる。
「棍棒以外には興味はないが、こんなものでも売れば、セティのおやつ代くらいには
代わってくれるかな?」
『おお!なんだかんだ言って、私を気遣うコウには、好意を抱いちゃいます♪』
「はいはい...ありがと、ありがと!」
俺はセティの好意的言葉を軽く受け流すと、おやつ代にするべく二つの武器を
地面から引き抜いて、マジカルリュックの中へとしまい込んだ。
「さて...肝心の棍棒さんはどこにいったんだ?」
俺は改めて、先ほど地面に落とした棍棒を探す。
『どうやら、あのジェネラルゴブリン...落ちた棍棒を拾ってあげて、再び
装備したようですね...』
「へ...!?ああ、本当だっ!?」
セティの言葉を聞いて、赤い鎧を着ているジェネラルゴブリンに目線を送ると、
その手には先ほど落っことした棍棒が、再び装備されていた。
「ぐぬぬぬ!お、己...。剣持ちと斧持ちのジェネラルゴブリンめ!余計な事を
してくれたせいで、最初からやり直しじゃねぇかっ!」
「ゴブゴブ......」
「ゴブゴブ......」
「ゴブゴブ、ゴブゴブ、煩いわ!」
『氷の墓標と共に消え去れやぁぁぁっ!カノン先輩の見よう見まね......
コールドランス・セメタリィィィ―――ッ!!』
苛立つ鳴き声を発する、二匹のジェネラルゴブリンに向けて、俺はうろ覚えの
カノン先輩の必殺氷魔法...コールドランス・セメタリーを詠唱すると、
二匹のジェネラルゴブリンへ向けて、地面から氷の小山が突き出てくる!
「「グギャァァァァ――――ッ!!!?」」
二匹のジェネラルゴブリンが、地面の変化に気づきその場を逃げようとするが、
全く間に合わず、瞬時ジェネラルゴブリン達が氷の中へと閉じ込められる!
「う~ん、発動はしてくれたけど...これは氷の墓標って言うより...只の氷の
小山だな...はは」
二匹のジェネラルゴブリンを閉じ込めた氷の墓標...イヤ、墓標とは程遠い形...
歪な形をした只の氷の小山を見て、改めて俺はカノン先輩の凄さを知るのだった。
「まぁいっか。取り敢えずお前達の武器たちは、セティのおやつ代にする為、
ありがたく頂戴しておくよ♪」
『ありがと、ござい♪』
氷づけのジェネラルゴブリン達に、コウとセティがはお礼の言葉を述べると、
落ちている二つの武器を地面から拾い上げ、マジカルリュックの中へと
しまい込んだ。




