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184話・俺と精霊憑依


「...と言うわけで、ミルは学園にこの事を報告に言ってもらえるか?」


「はい?何が...と言うわけなんですか、コウにぃ!?」


コウからいきなり告げられる意味不明な言葉に、ミルが目を

パチクリして驚いている。


「あ...そっか、ミルにはセティの声は聞こえていないんだった。

実はな......」



俺は先程のセティが述べた、可能性とやらをミルに説明する。



「ええぇぇ!ゴ、ゴブリンのスタンピードが起こるかもしれない

ですってぇぇぇっ!?」


コウの説明を聞き終わった瞬間、ミルが驚いて目を見開くと同時に、

その身を後退りさせてしまう。


「うん...。だからミルに、急ぎこの緊急事態を学園へと知らせに行って

ほしいんだ!」


「え?コウにぃはどうするんですか?ま、まさか!ゴ、ゴブリンの棍棒を

狩る為にそいつらを迎え撃つつもりなんじゃっ!?」


「ふ......当然さっ!こんなチャンス、もう二度とないだろうからねっ!」


俺の事を心配そうな顔で見てくるミルに、勿論だと言わんばかりに右腕を

前へと突き出しニヤリと口角を上げると、サムズアップを見せつける。


「イヤイヤイヤ、無理でしょう!あんまり言いたくないけど、コウにぃって

戦闘向きのスタイルじゃないよね!?サポートタイプだよね!?」


「うぐ...人が気にしている事をズバズバと......」


ミルの悪気のない言葉に、俺は眉をヒクヒクとさせる。


「それにスタンピードって言えば、ランクの高い冒険者が数十人LVで

迎え撃つって聞くよ!それをコウにぃだけって、無茶にも程があるよ!」


「まぁ...確かに俺ひとりじゃ無理かもしれないし、無茶かもしれない...。

でも、俺にはこれがあるっ!」


無理だ!無茶だ!と、あわあわしながら取り乱すミルに、俺は腰にさげていた

カタナを手に取り、それを目の前に突き出して見せた。


「そ、それ、カノンさんから頂いたっていうカタナだよね?でも...それが

一体なんだっていうの?」


「ふふふ...まぁ、見てなさいって!セティッ!」


カタナをジロジロと見てハテナ顔をしているミルへ、俺はしたり顔をしながら

セティに号令をかける。


『ハイハイ...それじゃ、いきますよ......我に宿るは水神の力!全命の源にて

母なる海の力!女神と原種が混じりて、切に求める彼の者へ......集えぇぇぇっ!』


『精霊憑依ッ!!』


セティがギフト奥義...精霊憑依の詠唱をし終えると、コウの身体が

青いオーラに包まれていく!


「な、何なの!コ、コウにぃの身体が青く光っているんだけど!?」


青く神々しい光がコウにまとっているのを見て、ミルが困惑と驚きで

入り混じった表情を浮かべている。


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