176話・俺の幼馴染と妹の思い出
「.........」
「ん?どうしたミル?急に動きを止めたかと思えば、そんな浮かない顔を
して...」
さっきまでの勢いはどこに?...と言いたくなる様な感じに急に動きが
止めるミルへ、俺はハテナ顔をしてしまう。
「いやですね...この展開になった時、いつも変態ストーカーのナナさんの
邪魔が入っていたなぁ...と思いまして......」
「ああ...そういえば、そうだな......」
そう...こんな感じのやり取りの後、ナナが乱入してきて邪魔をし、ミルと
ケンカする......
それが昔のパターンだった。
「それにあの変態ストーカー...今日の決闘でもコウにぃに対する態度が
違っていたし...」
「いつもと...違う?」
ミルそう言われて、俺は今日の決闘でのナナの事を思い出して見る...
「う~ん?そっか~?俺にはあいつの態度は、あんまりいつもと
変わんない気がするけどなぁ~?」
だがどれだけ思考してみても、いつもと変わらぬナナだった。
「違っていましたよ!だってナナさん、カノンさん達に怒っては
いましたけど...でもただ、それだけです。いつもの気概と言いますか、
執念がいまいち感じ取れせんでした...」
あ...改まってそう言われると、トラウマ事件の時よりもそういうオーラが
低くなってはいるよな...
「でもそれは当たり前の事だよ。だってあいつにはもう彼氏がいる訳だし、
それによる自重が出ているだけさ」
「いくら彼氏ができたからって、あの諦めの悪い変態ストーカーのナナさんが、
そんな事を一々自重をすると思っていますか?」
「そ、それを言われると...」
た、確かにあいつの辞書には、遠慮や自重と言う言葉はないかも知れないな...
何故か未だに朝起こしにくるし...カノン先輩達にも、あ~だ、こ~だと文句を
言っているしな...。
俺は今までのあいつの...ナナの行動を思い出して、ニガ笑いを浮かべる。
「まぁ...さっきも言ったけど、例え仲がいい幼馴染だったとしても、相手に
恋人ができれば、そっちの方が優先権を取るんだ...。だから、今までより
疎かになったしても、それはしょうないんだよ、ミル」
ミルにそう言いながらも、俺は何かとは言えない苦しい感情が胸の奥から
押し上がってくるのを感じた。
「疎かにか...。それはなんか、とても寂しいものですね...」
「ああ、そうだな...」
俺はそうミルに述べると、優しくその頭をソッと撫でるのだった。
その直後、カノン先輩達が俺の部屋の中へ強引に突入してくるが、
俺がミルをハグしながら頭を撫でいる姿を見て、その身を石化した様に
カチカチに固めてしまう...
そしてその後、日が昇ってくるまで、カノン先輩達とミルはキャットファイトを
繰り広げていた。