172話・俺がヒドイ目に合っていたその頃...3
「う~ん、やっぱ外の空気は美味しいね!さて......」
地上に出たポニーテールの少女が、背伸びをグッとして身体を解すと
この後の行動の事を話し合う為に、少年達へと向き合う。
「それで...二人はこれからどうするの?」
「ボク達はこのまま城に帰路して、今後の手に入れる他の宝玉の情報を
整理しようかと思っているよ!」
「私も城に用があるから、主様と一緒に行こうかなって思ってますよ♪」
ポニーテールの少女の問いに、少年とショートボブヘアの少女が答えを返す。
「そっか...。本当なら、私も一緒にって言いたい所なんだけど、実はこの後、
ちょっと速急な用事があるんだよね~。だから、今回はゴメンね!」
「ふふ...用があるんなら、しょうがないよ。宝玉の事はこちらでちゃんと
やっておくから、心配しないでいいよ♪」
申し訳なさそうにしているポニーテールの少女に、少年が心配するなと
安心させる言葉をかける。
「うん、ありがとう!それじゃ、私は行かせてもらうね!」
「あ...ちょっと待って!」
「え...?」
少年に呼びかけられたポニーテールの少女が足を止め、クルリと回って
少年の方へ振り返る。
「忘れ物だよ......ん!」
チュッ......
すると呼び止めたポニーテールの少女に少年が近づき、自分の唇と
ポニーテールの少女の唇を優しく重ね合わせる。
「こ、こら...ふ、不意討ちは止めてって...い、言ってるでしょう...!」
顔中を真っ赤に染めてテレているポニーテールの少女が、動揺しながら
慌てて少年から距離を取る。
「ゴメン、ゴメン。キミを見ていたら、ついしたくなっちゃって...♪」
「もう...何よそれ~!まぁ...恋人なんだし、別にいいんだけどさ......。
でもいきなりはやめてね、ビックリしちゃうから!」
恥ずかしそうに照れる少年に、ポニーテールの少女も満更じゃない表情を
しているが、照れを隠したいのか、少し怒った顔をしている。
「はは...善処するよ♪」
「なら、良し!コホン...それじゃ、今度こそ行くからね!」
ポニーテールの少女が怒り顔をニコッと変えると、クルリと少年とは
逆方向を向き、そのまま猛ダッシュで駆け出して行った。
「ふふ...やっぱりキミは可愛いね♪」
遠くなって行くポニーテールの後ろ姿を見て、少年がクスクスと笑って
見送っている。
「ぶう...あの子ばかりズルいですよ、主様!」
ショートボブヘアの少女が膨れっ面でプンプンと激おこして、少年に自分も
可愛がれと抗議する。




