171話・俺がヒドイ目に合っていたその頃...2
「ワレヲコロスダト?ククク...ナニヲイウカトオモエバ、ゼイジャクナル
ヒトゾクフゼイガ、ナマナコトヲイッテクレルナ...!」
「残念無念!私ってば、人族じゃないんだな~これがッ♪」
ショートボブヘアの少女がニヤリッと口角を上げると、背中から羽毛を
散らしながら、美しい翼がバッと音を立てて生えてくる!
「ナ!?ソ、ソノツバサ...マ、マサカ!キサマハテンシナノカッ!?」
「正解だよ♪そのご褒美に、一撃で屠ってあげるね♪」
『ク、コシャクナ!イカニテンシトハイエ、ショセンハヒトリ!
コノオレサマノオノノマエニハ、カテルワ――――――ウギャハァガッ!!?』
激昂したミノタウロスが大きな斧を振り上げ、ショートボブヘアの少女を
目掛けて突進してくる!
...が、それと時に、ショートボブヘアの少女の攻撃が閃光の如く決まり、
ミノタウロスの身体が縦一直線に斬られていた!
「ふふ...どうやら、そんなナマクラ斧より、私の神斧...【テラグラス】の方が
強かったようですね♪」
「ガガ...ググ...バ、バカナ!?コ、コノオレガ、コンナブザマニ......」
消えゆく声でミノタウロスが無念の言葉をこぼすと、そのまま地面に
倒れ込んで絶命する。
「エヘヘ~♪終わりましたよ~主様~♪」
聖斧テラグラスをトンと肩に乗せると、ルンルン気分で少年の元へ
ショートボブヘアの少女が帰ってくる。
「う~ん。と、扉もこの子が開け、ボスもこの子が倒すし...なんかこれって、
私、別にいらなかったんじゃないの?」
「もう、何をそんな謙遜を言っているんですか?貴女の魔法がなきゃ、
この部屋まで来られてなんていませんって、ねぇ~主様?」
「うん、そうだよ。キミがいなきゃ、この迷宮を攻略なんてできなかった、
それは間違いない...だからさ、そんなに拗ねないで......ね♪」
少年はニコッと微笑むと、ちょっと不貞くされているポニーテールの少女を
優しく抱き締める。
「ああ!ズルい、ズルい!私も私もギュッとして下さい!」
目の前で抱き締められているポニーテールの少女に嫉妬した、ショート
ボブヘアの少女、が不満な抗議を口にする。
「ふふ...それは後でゆっくりと...ね。それよりも......」
急に真面目な表情に変わった少年が部屋の奥に進むと、そこには神々しい
光を放つ深紅の宝玉が飾ってあった。
「へぇ...今度の宝玉は深紅色なんだ?これもめっちゃ綺麗だね!」
「ふふ...そうだね、まさにお宝って感じの輝きを放っているよね。
それじゃ、そのお宝...宝玉をいただくとしますか♪」
少年が飾ってある宝玉へゆっくり近づき、両手を伸ばして宝玉をガッチリ
掴み取ると、マジックリュックの中へ大事にしまい込む。
「よし...これにて任務終了!みんな本当にご苦労様でした!」
少年がポニーテールの少女とショートボブヘアの少女へニコッと微笑みを
見せると、お互いに任務が達成できた事を喜んだ。
そして少年達は、宝玉の部屋にあった転送装置を使って、迷宮の外へと
転送した。




