170話・俺がヒドイ目に合っていたその頃...1
ここはアーチに数個存在するといわれている『迷宮』と呼ばれている
古代のダンジョンで、遥か昔の人間......所謂、古代人作ったとされている。
そしてこの迷宮に、ひとりの少年と二人の少女が挑戦していた...。
コツン...コツン...
「見て見て、行き止まりに大きな扉!それに扉に刻まれたこの紋章...
うん、どうやらここがこの迷宮の最終地点みたいだね!」
ポニーテールの少女が髪をなびかせて、クルッと横に向きを変えると、
隣にいた少年に屈託のない笑顔で話しかける。
「ふふ...後はこの扉の奥にいるガーディアンさえ倒せば、ボク達の目的も
無事に達成だ!」
後もう少しで目的を達成できる事に、その少年も喜び勇んでニコッと微笑む。
「それじゃ主様。この扉、ちゃっちゃと開けちゃうねぇ~♪」
「ああ、頼んだよ!」
「オッケー!任せてよ~~♪」
少年の左隣にいた、腰までのびるキレイなショートボブヘアの少女が
ニコッと微笑みを見せると、目の前にそびえ立つ巨大な大きな扉を
ドンドン開けていく。
「うへ...いつ見ても、あの子のバカ力にはビックリしちゃうなぁ......」
本当、筋肉なんて全然ない細くて華奢な身体をしている癖に、どうして
あんな重そうな扉...楽々と開けられるんだろ...。
大きな扉を難なく開けていくショートボブヘアの少女に、ポニーテールの
少女が困惑と驚きの入り混じった表情を浮かべる。
「お~い、主様~!無事に扉が開きましたよぉ~~っ!」
ポニーテールの少女がそんな事を考えていると、ショートボブヘアの少女が
手を大きく振って、扉が開いた事を知らせてくる。
「ありがとう!じゃ早速、部屋の中に入ってみようか♪」
「うん、そうだねっ!」
少年とポニーテールの少女が気合いを入れ、扉の中に入る為の準備をすると、
金髪の少女が待っている開いた扉へゆっくり歩いて行く。
ボッ!ボッ!ボッ!ボッ!
少年達が開いた扉の奥に一歩足を踏み入れた瞬間、多数の松明らしき物に
炎が次々と点火して、部屋中がドンドン明るくなっていく。
「うわ...この部屋って数百年、人々から放っておかれた筈なのに、
結構キレイだねぇ?」
「キサマラ...ナニヲシニ、ココヘキタ......?」
「こ、この声は...!?」
部屋の中を見渡していたポニーテールの少女の耳に、突如低い唸り声が
聞こえてくると、その声の聞こえてくる方向へ慌てて顔を向けた...
するとそこには、ズシン、ズシンッと歩く音を響かせて、この部屋のボス...
牛の巨人こと、ミノタウロスがこちらへ近づいてくる。
「ソノキャシャデ、ゼイジャクナルスガタ...サテハキサマラ、ヒトゾクダナ?
シカシ、ヒトゾクゴトキガ、ヨクココヲミツケルコトガデキタモノダナ......」
「う~ん、見つける事が...って言うより、知っていた...の方が正解かな?」
ミノタウロスの問いに、少年が首を傾げて、少し引っ掛かる言い方で答えを
返す。
「シッテイタ?シッテイタトハ、ドウイウイミダ!?」
ミノタウロスが少年の意味不明な言葉を聞いて、眉をピクッと動かし苛立って
いると...
「それを貴方が知る必要なんてないわ。だって...ここで死ぬんですもの♪」
ショートボブヘアの少女が少年の前にスーッと立ち、ミノタウロスに向かって
ニコニコ笑顔で死刑宣告をする。




