17話・俺の自慢
「ふ~ん♪ふ~ん♪」
「あれ...どうしたんですか、コウ君?何か、とても嬉しそうな顔をして
いますけど?」
コウが鼻歌混じりのご機嫌表情を浮かべ、カノンと過ごせる楽しい放課後を
考えていると、クーナが不思議そうな顔をしてそれを見てくる。
「ふふふ...実はね、クーナさん!さっき...図書室である人と知り合いに
なってさ!」
...と、答えをワザと濁らせて、クーナさんへ返す。
「ある人と知り合いに...ですか...?」
「そうなんだ!それって、一体誰だと思う?」
ハテナ顔をして首を傾げているクーナさんに、俺はキラキラした笑顔で
問いを投げる。
「さすがにそれだけのヒントでは、ちょっとわからないかな...。でも、
コウ君のその笑顔を見る限り、素敵な人なんでしょうね♪」
ニコニコした表情を浮かべるコウに、クスッと微笑んでクーナが答える。
「うん、その通りだよ、クーナさん!その素敵な人の名前は俺達の
一年先輩で...二年のトップエースのあのカノン先輩だよ!」
答えを焦らすだけ焦らした俺は、屈託のない微笑みでその答えを教える。
「ええぇぇ―――ッ!?カノンって、あの氷使いの白銀騎士と呼ばれている、
あのカノン先輩ですかぁぁ―――っ!?」
「そう!そのカノン先輩だよっ!」
クーナさんが驚くさなか、俺の顔は自慢してやったというドヤ顔になる。
「しかもだよ!そのカノン先輩が、何と!この俺に氷系の技や魔法を
マンツーマンで指導してくれるって言うんだよ...テヘヘ♪」
「へ、へえ...カノン先輩が...指導をですか...?へえ...マンツーマンで
指導をねぇ......」
あ、あれ......?
さっきまであんなに驚いてくれていたのに、急に反応がおかしな感じに...?
...って、言うよりか、真顔になってる...のか?
イヤイヤ...俺の...気のせいだな...!
「コホン、だから俺も頑張ってカノン先輩から氷系の技や魔法の教えを
請うからさ、クーナさんもブースト系のマスターを頑張ってよ!」
俺は気を取り直して、自分も頑張るからクーナさんも頑張れとエールを
送るが......
「え...何を言っているんですか、コウ君?その指導には、私もついて
行きますけど?」
しかし返ってきたクーナの返事は、予想外の言葉だった...。
「へ...!?つ、ついて行くって...俺がカノン先輩から受ける指導内容は
クーナさんの課題魔法と全然違うやつだよ?」
「でもついて行きますよ♪だって、私達はパートナーなんですから、練習も
一緒じゃないと...だから、ねぇ♪私もついて行っていいですよね...コウ君♪」
「はは、はひぃぃ―――っ!?と、当然でありますっ!!どど、どうか
一緒についてきて下さいぃぃっ!!」
笑っているのに、どう見ても笑っている様に見えないクーナさんのその表情に、
俺の身体中がゾクッとなって悪寒が走り、気づくと速攻で肯定する言葉を
吐いていた。