168話・俺の風呂に妹が突撃する!
「ふ...いいだろう...。そこまでごねるなら、それをやる気に変える
素敵な言葉をキミに送ろう!」
「へ...?わ、私をやる気に...ですか??」
未だに渋るセティに業を煮やしたコウは、静かにセティの顔をジィィーッと
見据える...
「お湯を浄化しなきゃ、お前のおやつの量...今度から三分の一に減らすっ!」
そしてハテナ顔をして俺を見てくるセティへ、冷酷な口調でおやつの制限を
宣言した。
『はううううううぅぅぅうぅぅっ!?さ、三分のいちぃぃいぃぃいっ!?』
おやつの制限されたセティは、叫声を荒らげてビックリたまげてしまう。
『やや、やります!いえ、ぜ、是非、自分にやらせて下さいっ!』
そして間を入れず、セティが刀の中から慌てて勢いよく飛び出てきてくると、
キレイな敬礼をビシッとコウに決める。
「うむ。それじゃ、よろしく頼むぞ...セティ!」
「アイアイサーッ!」
ニコリと微笑むコウに、真面目な顔でセティが再びキレイな敬礼を
ビシッと決める。
「では...いきます!」
『ハァァァァ!水を濾過して浄化せよ!クリーン・アクアァァァッ!』
セティが手のひらをお湯ギリギリまで持っていき、水浄化魔法を詠唱すると、
お湯がピカッと輝き、しばらくすると見た目でもわかるくらい、お湯がキラキラと
輝いてくる。
「ふう...浄化作業、無事に終わりましたよ!」
「ご苦労様、セティ。いつもこれくらいテキパキ動いてくれれば、文句なんて
出ないのにな!」
「へへ...善処します♪」
この笑顔...絶対しないって顔だな......ったく。
俺は適当な返事を返すセティに、やれやれと頭を掻いて嘆息を吐いた。
「まぁいい...これでやっと、お風呂に入れるよ...。じゃあセティ、刀の中に
もう帰っていいぞ♪」
用が済んだセティに、手のひらをクイクイと動かして、刀の中に帰れの
ポーズを取る。
「ちょ!な、何ですか、その労い程々の適当なあしらいは!いくらなんでも
ヒドイ気がするんですけどぉぉ!?」
「こ、こら!こんな狭いお風呂場の中で騒ぐんじゃな―――のわわぁぁっ!?」
狭いお風呂場の中でセティが暴れたせいで案の定、俺とセティが豪快に床に転ぶ。
「いてて...ほら見ろ、やっぱり転んだじゃないか...」
「えへへ...すいません。これはお詫びです!えい、えい!」
「はう!はう!?」
セティがニカッと微笑むと、コウの顔を自分の胸へと何度も押しつける。
「どうです...許してくれますか♪」
「ハァ...お前なぁ......」
許しちゃうに決まっているだろ!マジでありがとうございます!
...と、俺は心の中でセティに一礼をしていた。
その時!
「ふふふふ...お待たせしました!コウにぃ!妹様とのスキン...シップ...の...
始...まり?」
ガチャンと大きくドアを開けて、お風呂場に入ってきたミルと俺達との目が
合った...。




