166話・俺をセティが助けた回数
『ほ、ほら!この間のあれですよ、あれ!この間のクエストで私を
召喚したお陰で、何とか助かったじゃありませんか!』
ジト目でジィィーッと見てくるコウに、セティがあたふたと動揺しながら、
自分が役立った時の事を必死に説明してくる。
「嗚呼...あの時か...。うん、あの時はマジで助かったよ...!」
セティに言われて思い出したのか、コウが手のひらをポンと叩く。
「で、でしょう!これで私がや―――」
「それで...その他には?」
『はうっ!そ、その他っ!?』
セティが安堵したのも束の間、コウが次に役立った事をニコニコ顔で
聞いてくる。
『えっと...そ、その他は......た、確か...その前のクエスト...いいや、
その前の前のクエスト...?』
えっと...他...他......あれっていつでしたっけ...2回前のクエスト...いいえ、
違いますね......。そ、それじゃ、4回前のクエスト...だったかな...??
セティが両手を頭に乗せて、激しくグルグルと動かすと、他に活躍したのは
いつだったかを、懸命に思い出そうとしている。
「そりゃ、わかんないよなぁ...何せ、お前を活動したのって、そのクエストの
前の前の前の前の前の前の前の前の......つまりは、8回前のクエストだよ!
8回前のなっ!」
目の前で血管が切れそうな勢いで頭にググッと力を入れて思考している
セティに、俺はその答えを呆れ口調で叫声する。
『はは...そ、そんなに前だったっけ?』
「ハァ......この際、ハッキリ言うがな...正直、割に合わんのだよ......
コスト的に考えて...」
俺はやれやれといったポーズを取って深い嘆息を吐くと、毎日、毎日、
俺の稼いだクエストの報酬で食っちゃ寝をしているセティの事を思い出し、
額に一本の青筋ができる。
「大体、お前ってば!クエストは数回に1回しか手伝わない!料理はてんで駄目!
できる家事も、水を出す!氷を作る!そして水をキレイにする...これだけじゃんか!」
『ええぇぇ!水、氷、水の浄化!家事スキルとしては最高じゃないですかっ!』
愚痴をこぼしたコウに、セティが頬を膨らませてプンプンと怒ると、納得が
いかないと抗議した。




