161話・俺の順番
「しかし妹ちゃん...本当、コウの事が大好きなのだな...」
妹ちゃんを見ていると、私の愚昧を思い出す...。あいつ、元気に
しているだろうか...?
ふ...また暴走していなければ良いのだがな。
「ん?どうしたんです、カノン先輩?何かボーッとしていましたけど?」
「お...クーナちゃんか?スマンスマン、少し考え事をしていた...」
心配そうなクーナーから声をかけられ思考の中から帰ってくると、
カノンは大丈夫と微笑みを見せ微笑んでくる。
「さて...取り敢えず...今日は結構、汗を掻いた事だし...お風呂を頂いても
いいか、コウ?」
カノンがグッと背伸びをして席を立つと、コウにお風呂の入浴の許可を
求める。
「え、お風呂ですか?はい、いいですよ。お風呂に使う為の【水の魔石】と
【火の魔石】はお風呂場の棚に積んでますから、それを使って下さい!」
俺は風呂のある方向を差し、そこに置いてある水と火の魔石の場所を教える。
因みに水の魔石には水の魔力が込もっていて、念を込めると水が湧いてくる。
同等に火の魔石も念を込めると火が吹き出してくる。
数個の水の魔石を風呂桶に、火の魔石を熱を吹き出す釜に装着する事で、
お風呂の完成だ。
尚、温度調整等は水の魔石が取りつけられている蛇口があるのでそれで行う。
「うむ...了解した。それで...コウはどの順番で入るのだ?」
「へ...どの順番といいますと?」
突如、順番を聞いてくるカノン先輩に、俺は首を傾げてハテナ顔をする。
「ふ...言わせるな。コウは一体誰の後に入って、残り湯を楽しむのだと
言っているのだ!」
「ぶぅぅぅううぅぅぅぅぅぅぅ――――――っ!!」
カノン先輩のトンでも発言に、俺は思いっきり吹き出してしまう。
「ちちち、ちょっと、な、何を言い出すんですか、カノン先輩はぁぁぁっ!?」
「ふ...やはり私だけより、私とクーナちゃん...二人の彼女の後に入るのが
ベターか?」
「はう!?コ、コウ君......」
ニヤリと口角を上げたカノンが述べる言葉を聞いて、クーナが顔を真っ赤にして
動揺する姿を見せる。
「ク、クーナさん!?そ、そんな目で見ないで下さいよ!お、俺は今日、お風呂は
いいですからぁぁぁっ!」
「え...そ、それは本気で言っているのか、我が彼氏よ......」
「流石に、これだけ汗を掻いてお風呂に入らないっていうのは...」
コウが今日はお風呂に入らない宣言をすると、カノンとクーナが露骨に嫌な物を
見る目に変わる。
「ええ!そ、そんなにおかしいですか!?だ、男子のお風呂事情ってこんな
もんですよ!」
「例えそうであっても、彼女がいる時くらいはその身をキレイに整えて
下さい...!」
「そうだぞ、コウ。イチャイチャしている時、汗よりも石鹸の香りで充たされて
いたいものだからな...」
普通の男子は結構ずぼらですよとカノン先輩とクーナさんに説明すると、それでも
身だしなみをちゃんとするのが、彼氏の役目と窘めてくる。




