160話・俺の妹達のスケジュール
「おっと...危ない、危ない。ミルさんの突発的な行動に思わず、動きを
とめてしまいましたが...これはわたくしもいかなければいけない
パターンのようですわね!」
カノンとミルのやり取りをボーッと見ていたナユユがふと我に返ると、
二人の取り合いに参加するべく、二人の元に颯爽と駆けて行く!
「ふ...これはボクも参加しないといけない空気!いざ、参るっ!」
ロイエもそのやり取りを見て、ここは自分も加わる所と、言わんばかりに
腕捲りをすると、その勢いでナユユの後に続く!
「いたたた!ちょっと!なんで二人も参加して――っいたたぁぁああっ!!?
ど、同時はやめてえぇぇぇええっ!!?」
瞳をキラキラされてこっちに向かってくるナユユちゃんとロイエちゃんに、
目を丸くしてビックリした瞬間、二人から同時に違う方向に身体を引っ張られ、
声が枯れるほどの叫声が口からこぼれてしまう。
「ふう...コウ君はモテモテ屋さんですね...」
その風景をクーナは目を細めて見つめながら、微笑ましいとお茶を
すすっている。
コウを巻き込んで繰り広げられた、キャットファイトから幾十分後...
しばらく続いたカノン先輩やミル達三人組の闘いも、何とか落ち着きを
取り戻し、再び広間でみんなはのんびりと寛いていた。
「なるほど...それじゃミル達三人は、明日から4日間、俺達の学園に通うと
いう事なんだね?」
先程聞きそびれたミル達の今後の予定を、コウが改めて確認してくる。
「えへへ♪どう?嬉しいでしょう、コウにぃ♪明日から4日間は私に毎日、毎日、
起こされ、朝ご飯を一緒に食べて、一緒に登校して、学園では勉学を一緒に学んで、
そして私達の愛の巣へと一緒に帰る...こんな夢みたいな妹ライフが待っているん
ですから♪」
ミルがお日様の笑顔で、この4日間の生活ライフを嬉しそうに語ると、コウの顔に
自分の顔をギュッと押しつけ頬ずりをしてくる。
「はう!?ちょっと、ミル!か、顔が近すぎだ!?それにスリスリをやめなさい!」
「えへへ...テレない、テレない♪ああ、明日から二人での生活かぁ~楽しみだな♪」
コウに注意を促されるものの、全く聞く気はなく、そのままスリスリしながら
明日からの生活を想像すると、ミルの目尻が下がっている。
「はは...。一応、ボク達もこの家でやっかいになるんだから一緒に行動するのに、
ミルの中では、ボク達はいない事になっているみたいだ...」
「ハァ、まったく相変わらずの兄好きですね、ミルさんは...。ですが、私も
負けませんよ!この私だって、この4日間で必ず、お兄様をメロメロにして
さしあげるのですから!おほほほほほ!」
「ボクも当然、そこには参加を申し込んじゃうよ!あのお兄さんの撫で撫では
誰にも譲る気はないし!ふふふ...見ていろよ、お兄さん!」
自分だけの世界に入っているミルに、呆れるナユユとロイエだったが、それが逆に
闘志となって、二人はどうやって自分達の好き好きアピールをミルと彼女を出し抜いて
コウにしてやろうかと考えると、不適な笑いがこぼれるのだった。




