159話・俺を彼女が自慢にする
「ほほう...つまりが妹ちゃんも含めて、グランジ学園に用と言うよりも、
コウに会いに来たと...言う事なのか?」
カノンが顎に手を置いて、ミル達三人をジィィーッと見つめている。
「当然です!学園への留学なんて、建前に決まっているじゃないですか!」
「まぁ、正直。グランジ学園の魔法には興味はありますけど、やはり一番の
目的は、カノンさんの言う通り、お兄様に会いにが大きいですわね!」
「うん、ボクも魔法はマトモに使えないから、同じく興味津々ではあるかな?
勿論、ボクもお兄さんに会いにが前提ですけど♪」
カノンの問いに、ミル、ナユユ、ロイエがそれぞれの答えを返してくる。
「うむ...私の知らない所でコウの評判がこんなに上がっているとは...
彼女としてかなり自慢ではあるのだが......」
「はう!?」
ミル達の答えを聞いたカノンが、少しムムッとした感じの表情をした後、
コウを後ろからギュッと抱き締める。
「ち、ちょっと、カノンさん!何でいきなり、コウにぃを抱き締めているん
ですか!」
「ん...モテモテの彼氏に対し、嫉妬が否めないので彼氏よ、彼女を抱き
締め慰めろ......そんな感じなのだが...これのどこが悪いと言うのだ?」
「わ、悪いに決まっているでしょう!私はあなたをコウにぃの彼女なんて、
認めてい......って、コウにぃの頭を撫でながら聞くなぁぁぁぁっ!」
ミルが文句を吐いて抗議している最中、イチャイチャとしているカノンに
目を思いっきり見開いて叫声を荒らげる。
「えぇぇ...せっかく、彼氏の家に来ているんだ。イチャイチャしたい衝動は
彼女としては当たり前の行動だと思うのだが?」
「だから、私はあなたをコウにぃの彼女とは認めていないって、さっきから
言ってるでしょうがぁぁぁぁっ!」
ハテナ顔をして首を傾げるカノンにイラついたミルが、拳をブルブル震わせて
抗議を口にした瞬間、コウとカノンに向かってジャンプする!
「ええ~い、離れなさい!このメス豚がぁぁぁぁっ!」
「メスぶ...ちょっと妹ちゃん、その呼称はいくらなんでも酷いと思うのだが!」
「う、うるさい!人の愛する人にちょっかいをかけてくる輩には、その呼び名も
可愛いものですよ!」
「――はう!い、いててっててぇぇぇ!ミル!や、やめてぇぇぇ!ご、強引に
引き剥がそうとしないでぇぇ!?ち、ち、千切れるぅうぅ!それマジで引き
千切れるからぁぁぁああぁぁぁっ!?」
コウからカノンの手を強引に引き剥がそうとするが、カノンは全く離す気がなく、
コウの頬の肉が、ミルにグイグイと引っ張られていく。




