156話・俺の家でドタバタコメディ
「ったく...これでやっと、カノン先輩達を家の中に呼べ...って、
ちょ、セティさん!?何で、玄関へ猛ダッシュなさっているんですか!」
「それは同居人として、是非是非、皆様とご挨拶を交わしておこうかと
思いまして!」
走りながら、コウへ敬礼をするとそのまま玄関へ駆けて行く。
「イヤイヤイヤイヤ!しなくていいから!マジで本気のマジでしなくても
いいからぁぁぁ!」
...って、言うか!セティ、足めっちゃ早えぇぇ!
だがしかし!
ここで玄関へ行かれては、俺の人生かなりピンチな事になってしまう!
意地でもそれは死守させてもらうぞぉぉぉおぉっ!
俺はそう叫声を荒らげると、セティへ向けて思いっきりジャンプする。
「うわ!その勢いは不味いですって!?」
「し、しまった!確かに勢い過ぎたぁぁぁぁぁぁ!うぷ!?」
振り向いたセティの胸に、勢いとまらない俺は思いっきり顔を埋めて
しまう。
「うぷぷ...な、なんだ、この顔中を包み込む至福のやっこいものは!?
こ、これは...言わずとも知る、二つのお山さん!」
「うにゃ!ち、ちょっと、コウ。嬉しいのはわかりますが、少し落ち着いて
下さい...って!」
ハッ!
いかんいかん、あまりの幸運の舞い込みに、無我夢中で顔を左右に振って
しまった!
「おぉぉぉ~~い、お兄さぁぁぁん!エッチィ本とかは、もう隠し終え
ましたかぁぁぁぁ?」
エッチィ本ッ!?
そ、そうだったぁぁぁ!それがあったのを、すっかり忘れてたぁぁぁぁ!!
「ちょっと、そんなに暴れないで下さいってば!へんな、へんな声が
出ちゃいますからぁぁぁ!うにゃははっはははっ!!」
俺に倒れ込んでいるセティから、強引に脱出しようとするものの、
もがけば、もがく程、全く脱出が出来ずにいた。
「ん?この声は!?ねぇ、コウにぃ...家の中に誰か...いる...の......??」
外で待っていたミルがセティ達の声に感づき、玄関のドアをガラッと開けて
確かめるミル...
「.........ミ、ミル!?」
「エヘヘ、やっほ~♪」
開けた先にいる、抱き合って倒れているコウとセティの目と目が合う
ミル...
それをヤバいと石化するコウに、場の空気を呼ばず、軽くミルヘ挨拶を
発するセティ...
「え!?す、すいません!い、家を間違えました!」
その光景を受け入れきれないミルは、少し思考をグルグルと働かせて、
出た結果がここは違う家だったと、慌てて玄関のドアをバタンと静かに
閉めるのだった...。




