145話・俺の妹と二人娘の悪巧み
「さぁ...行くぞ、コウ、クーナちゃん。さっさとしないと、日が暮れて
しまうからな!」
「たはは...これ以上はもう、説得は無理みたいだな...。しょうがない、
ここはカノン先輩の言う様に、彼女とのお泊まりを喜ぶとするかっ!」
俺は溜め息を吐くと、気持ちを切り替えて素直に彼女達が自分の家へ
泊まりにくる事を喜ぶ事にした。
「おお!なんだろう、これ?そう決意を決めたら、俺の心がドキドキ、
ワクワクしてきているぞっ!」
俺は諦めて心を切り替えると、彼女のお泊まりと言うフレーズに対し、
完全にテンションが上がってきて、高揚感が高まってくる。
そして、その感情を爆発させるかの様に猛ダッシュをして、自分の家へと
帰路するのだった。
「.........なんか、完全に忘れられているね、ボク達?」
自分達の事を完全に忘れて先に家へ行こうとしているコウ達に、
呆気に取られて、ロイエが茫然としてしまう。
「ふふ...流石は、あの変態ストーカーを押し退けて、彼女の地位についた
だけはありますね...。まぁ、私から見たら、二人とも所詮はただの
『自称』恋人なんですけどね!」
そうですよ、コウにぃとの人生のつき合い歴の長さは、私の方が断然に
上なんですから!
「さて...私の邪魔をする、あの『自称』恋人達をどう料理してあげよっかな...」
ミルが不適な笑みを浮かべてると、カノン達を撃退する為に録でもない悪巧みを
思考する。
「うわ...ミルさんのあの顔...。あれは何か腹黒い事を企んでいますわね...。
しかし、わたくしも負けてられませんよ!絶対、コウお兄様の心を鷲掴みに
してみますわ!その為には、ふふふふ......」
ナユユもミル同様に不適な笑みを浮かべて、何やら悪巧みを思考している。
「はは...スッカリ、ナユユの奴、ミルのお兄さんにベタ惚れみたいだね...。
しょうがない、何か面白そうだし...ここはボクも二人に乗っかってみますか♪」
ロイエはロイエで、何やら企んでいる様で、二人同様に不適な笑みを浮かべて
見せる。
「ん...おおい!そこで何をしているんだ、三人とも!早くこないと置いて
いっちゃうぞぉぉ~!」
自分達について来ていないミル達に気づいたコウが、大きく手を振って、
ミル達に呼びかける。
「あ、お兄さん。ボク達の事、忘れてなかったんだ♪」
「ふ...気づいて当然です。何せ、私の兄は馬鹿がつく程のお気楽なお人好し
ですからね!」
「ミルさん...。そ、それ...あんまり、褒めていない気がするんだけど......」
ミル達がそれぞれの意見でコウの評価をつけると、みんなでコウの方へと
駆けて行くのだった。




